更新日: 2023.03.18 セカンドライフ
60歳、夫婦で貯蓄は「900万円」です。老後はどのくらい赤字になるでしょうか…?
そこで、今回は「貯蓄900万円を持っている60歳夫婦の老後の家計収支」についてシミュレーションしてみます。また、老後の家計が赤字になりそうなときの対策についても紹介するので、参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
60代の夫婦の平均貯蓄額はどれぐらい?
今回のシミュレーションでは貯蓄900万円を想定していますが、そもそも60代夫婦の平均貯蓄額はどれぐらいなのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」という資料によると、世帯主の年齢が60歳代の世帯の平均貯蓄額は1745万円となっています。ただし、この数値はあくまでも平均値であり、より実態に近いとされる中央値では875万円です。
このことから、一部の資産家が多額の貯蓄額を持っていて平均貯蓄額を押し上げていることが推測され、900万円の貯蓄がある60代夫婦は実際には平均的な家庭に近いと考えられます。
なお、同資料では世帯主が70歳代の世帯も調査しており、それによると平均貯蓄額は1786万円(中央値1000万円)でした。60代で平均貯蓄額900万円と聞くと、かなりの大金に感じる人もいるかもしれませんが、目指すべき一つの目標として現実的な数字だといえるでしょう。
平均的な厚生年金の平均受給額だと80歳ごろには貯蓄が底をつく!?
それでは、60代夫婦で貯蓄900万円がある世帯が老後に平均的な収入を得た場合、毎月の家計はどのようになるかをシミュレーションしていきましょう。老後の収入として多くの人が当てにするのが年金です。
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均的な年金受給額は厚生年金受給額が約14万6000円、国民年金は約5万6000円でした。
つまり、夫が平均的な厚生年金を受給できるサラリーマンで妻が専業主婦または夫の扶養の範囲内で働いていた場合、合計で月額20万2000円の年金がもらえる計算です。
一方で、毎月の支出は非消費支出と消費支出の合計で、25万5100円(総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年」)ほどになると想定されます。
つまり、このケースでは年間で63万7200円(毎月5万3100円)ほど赤字になってしまい、そのままでは約14年で貯蓄の900万円がなくなってしまいます。
仮に65歳から老後が始まるとすると、80歳を迎えるころには貯蓄が底をついてしまうでしょう。それでは不安だという人はどのような対策が有効なのでしょうか。
老後の赤字対策は長く働くことが基本
老後の家計が赤字になることが想定される人にとって最も安定した効果が期待できるのが、「老後も働いて収入を得る方法」です。
上述のシミュレーション結果を踏まえると、たとえフルタイムでなくてもパートやアルバイトなどで毎月5万円ほどの収入があれば、毎月の家計収支の不足分は補えます。
仮に65歳から70歳まで夫婦で月10万円を稼げれば、貯蓄を取り崩すことなく、むしろ毎月5万円(5年間トータルで約300万円)ほど貯蓄を殖やせます。すると、70歳時点では貯蓄額が約1200万円になっているので、仮に年間で63万7200円の赤字でも約89歳まで貯蓄はもつ計算です。
もしも老後資金対策を20代や30代といった若い世代から行うのであれば、利益にかかる税金が非課税になるNISAや所得控除になり節税につながるiDeCoを始めるのも選択肢の一つです。
どちらも毎月コツコツと投資していくことで、長期的にはそれなりの老後資金になっていることがあります。ただし、どちらも株や投資信託といった金融商品に投資する制度なので、選ぶ商品によっては元本割れする可能性がある点については注意してください。
まずは自らの老後プランについてしっかり考えてみよう
今回のシミュレーションでは、60歳で貯蓄900万円の世帯の場合、老後は赤字になる可能性が高いことがわかりました。ただし、今回のシミュレーションはあくまでも平均的な年金受給額から算出しただけのものです。
もらえる年金額や毎月かかる生活費は人それぞれ異なります。大切なことは自分の生活スタイルから必要な老後資金を逆算することなので、この機会に自らの老後について考えてみてください。
出典
金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査2021年」 (二人以上世帯調査)
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部