定年後の「再就職」で年収ダウン。そんなときは「給付金」を受け取れる? 3つの手当を解説
配信日: 2023.03.25
本記事では、再雇用や再就職をした際に受給できる3種類の手当について解説していきます。
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
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定年退職後にも働く場合は3つの手当がある
定年退職後に働く場合、一定の要件を満たせば受給できる手当があります。「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」「再就職手当」の3つです。
勤めていた企業に再雇用される場合や、求職活動をして再就職した場合など、状況によって適用される手当が異なります。ここから、3種類の手当についてそれぞれ解説します。
高年齢雇用継続基本給付金
1つ目は「高年齢雇用継続基本給付金」です。60歳定年後に勤めていた会社に再雇用され、賃金が定年時に比べて75%未満に減った場合に受給できます。受給期間は60歳から65歳までの5年間です。
「高年齢雇用継続基本給付金」の受給要件は次の通りです。
・60歳以上、65歳未満の被保険者である
・雇用保険の被保険者であった期間が5年以上
給付金額は賃金の低下率によって異なります。
定年時(60歳以上)に比べて、賃金が61%以下に低下した場合は賃金月額の15%に相当する金額が支給され、61%以上75%未満の場合は低下率によって支給額が変わります。定年時に比べて75%以上の場合は支給されません。
例えば、60歳定年時の賃金が50万円の方が再雇用され、賃金が20万円になったとします。この場合、定年前の賃金の40%に低下しており、高年齢雇用継続基本給付金は、賃金20万円の15%にあたる3万円が毎月支給されます。60~65歳まで受給すると、合計で180万円です(実際の受給額は状況によって異なります)。
高年齢再就職給付金
2つ目は「高年齢再就職給付金」です。定年退職し求職活動中に再就職先が決まった場合に受給できます。
受給要件、支給金額については高年齢雇用継続基本給付金と同様ですが、「基本手当が100日以上残っている」という条件がある点、そして「支給期間は最長で2年間」であるという点が異なります。支給期間は、基本手当が200日以上残っている場合は2年間、100日以上200日未満は1年間になります。
【図表1】
ハローワーク よくあるご質問(雇用保険について)
一般的な離職者の場合、定年退職者の基本手当は図表1のように、20年以上勤務していたケースであっても150日までです。高年齢再就職給付金を利用すると、支給期間は1年間となります。
このように、再雇用なら最大5年間ですが、再就職だと最大2年間と、受給期間に差が生じることに注意が必要です。
再就職手当
3つ目は「再就職手当」です。求職活動中に、基本手当(失業手当)の支給残日数が3分の1以上残っている状態で再就職先が決まった場合に受給できます。
再就職手当を受給するには他にも、受給手続き後7日間の待期期間を設けることや、退職した会社に再び就職しないなどの要件があります。再就職手当を申請する際はハローワークで詳しい要件を確認しておきましょう。
再就職手当の支給額は次の通りです。
・基本手当の支給残日数が3分の2以上の場合は基本手当の合計の70%
・基本手当の支給残日数が3分の1以上、3分の2未満の場合は基本手当の合計の60%
例えば、Aさんの基本手当が5000円、支給日数30日、支給残日数120日、支給額は基本手当の合計の70%の場合で見てみましょう。
5000円×120日×70%=42万円
Aさんの再就職手当は42万円となり、後日一括で支給されます。また、「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」両方の受給はできないので支給総額の多い方を選びましょう(実際の受給額は状況によって異なります)。
ライフスタイルに合った働き方と制度を選びましょう
今回は、定年退職後に働く場合にも受給できる手当について解説しました。再雇用の場合は「高年齢雇用継続基本給付金」、再就職する場合は「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」のどちらかを受給できます。
単純に受給額だけで見ると、「高年齢雇用継続基本給付金」を活用すれば最大5年間の支給期間があるので再雇用を選択した方が有利になる可能性が高いといえます。とはいえ、再雇用を選択することが絶対の正解とは言い切れません。定年後も働き続けるには、やりがいのため、人とのつながりを作るためなど、人それぞれにさまざまな理由があるでしょう。
本記事で紹介したポイントを念頭に置きつつ、ご自身のライフスタイルに合った働き方を選択してみてください。
出典
ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付
ハローワーク インターネットサービス 就職促進給付
ハローワーク よくあるご質問(雇用保険について)
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種