更新日: 2019.01.07 セカンドライフ
年金&退職金だけでは足りない!?超長寿社会の経済リスク
長生きできるのはおめでたいことですが、一方で心配なのが1年長生きするごとにかさんでいく老後の生活費です。
今日は老後の強い味方であるはずの公的年金と退職金が、どれくらい頼りになるのかという視点から見ていきたいと思います。
(※)厚生労働省 平成28年「簡易生命表」
執筆者:萬實赳志(ばんみ たけし)
AFP認定者
1988年4月5日大阪生まれ大阪育ち。
大学卒業後、「家庭の経済事情で進学できない子供を0にしたい」という思いから生命保険業界を志し、
国内大手生命保険会社入社。営業職員支援・教育に携わる。震災直後後の福島県にも2年間赴任。
その後自ら直接お客様に保険の大切さを伝えたいという思いから、生命保険販売のプロとなるべく外資
生命保険株式会社に入社。一社専業FPとして2年半セールスに携わり、毎週連続契約40週以上での表彰、
部門別表彰では全国5位となるなどお客様から評価いただく。
一社専属のセールスパーソンではお客様をお守りしきれないことに限界を感じ、さらに大きな安心、
多くのサービスをお客様に提供したいという思いから、独立系FPの集団である日本ファイナンシャル
プランニング株式会社の創業期に参画。現在に至る。
モットーは「家庭円満」。趣味は映画鑑賞、読書、妻と出かけること。
国から年金っていくらもらえるの?
厚生労働省が発表している平成26年財政検証レポート(※)によると、現在サラリーマン世帯(妻専業主婦)における、ひと月の年金受給額は約22万円となっています。
一見「老後それくらいもらえれば生活していけるかも」と思われるかもしれません。実際、現在の高齢者世帯の収入の7割弱を、公的年金・恩給が占めています。
また、現役世代の約6割が、老後の生活設計を立てる際に、公的年金を中心に考えているようです。
しかし、それに対して老後夫婦二人のゆとりある老後生活費は約35万円(生命保険文化センター「平成25年度 生活保障に関する調査」)となっており、毎月13万円程度不足が生じていることになります。
足らない分を企業の年金や財産所得で補ったり、働いて収入を得たりしているわけですが、いつまでも働けるわけではありません。
※平成26年財政検証レポート
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093204.html
※生命保険文化センター「平成25年度 生活保障に関する調査」
http://www.jili.or.jp/research/report/chousa10th.html
退職金の平均額は??
平成25年就労条件総合調査結果の概況(※)によれば、平成24年度における大卒勤続35年以上の人の退職金の平均給付額は2156万円となっています。
65歳を迎えた男性の場合、平均余命は20年弱あるので、2156万円を20年間12カ月で割り、切り崩して使っていくと考えると、1カ月あたり約9万円使えることになります。
サラリーマン(妻専業主婦)世帯の月の平均年金受給額である約22万円と合わせても31万円程度となり、老後夫婦二人の必要な生活費用には約4万円足らない計算となります。
※平成25年就労条件総合調査結果の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/13/dl/gaiyou05.pdf
平均寿命は延び続けている
平成28年簡易生命表(※)によると昭和22年には男性50.06歳・女性53.96歳だった平均寿命は延び続けており、近年延び方は鈍化しているものの、今後も延び続ける可能性があります。
長生きできるのは幸せなはずですが、退職金や預貯金をすべて切り崩し、高齢で働けなくなった時に公的年金だけで生活していくのはかなり厳しいのではないでしょうか。
生活費のみならず、介護に関する費用がかさむ可能性も十分にあります。その公的年金ですら、少子高齢化の影響で支給水準の引き下げをせざるを得ない状況となっています。
※平成28年簡易生命表 参考資料2 主な年齢の平均余命の年次推移
www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life16/index.html
老後に向けてのお金の貯め方は工夫が必要
今まで見てきたように、
(1)公的年金だけでは月々の生活費は足りない。
(2)退職金や預貯金はいつか底をつく。
という問題があります。
そして少子高齢化、平均寿命の延びは進み続けているため、今後さらに状況は厳しくなることが想像できます。それは今若い人ほど顕著です。
出産や子育て、住宅の購入など目前の資金繰りも大変ですが、老後の生活資金の対策も今からしっかりやっておかなければなりません。
対策を講じる上で重要なポイントは、私たちは自分が何歳まで生きるのかわからないということです。
このポイントも抑えた上での対策・方法は2つあります。
1.現金を圧倒的な額で貯金しておく
2.毎月収入が入り続ける仕組みをつくっておく
1については、世帯収入が高い人であれば可能かもしれませんが、誰にでもできる方法とは言い難いでしょう。
2については、例えば一部貯蓄型の生命保険の終身年金受取機能を使うこと、不動産投資など比較的手をつけやすい方法で対処ができます。
ただいずれにしても慎重に選ばないと失敗する可能性が高いため、高度な専門知識をもつFPに相談することをお薦めします。
Text:萬實赳志(ばんみ たけし)
AFP認定者