更新日: 2023.03.31 セカンドライフ
老後の年金は「6万円」だけ…「持ち家」で「畑」があれば自給自足で生活していける?
もし年金のみで生活ができるとわかれば、安心して老後を迎えられる可能性が高まります。今回は、65歳以上の消費支出のデータから、年金のみで老後の生活が可能かどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
65歳以上の消費支出額
老齢基礎年金は原則65歳から受給可能なため、ここでは、65歳以上の単身世帯について考えます。総務省統計局の「家計調査」の結果によると、2021年における65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の平均消費支出額は、13万2476円でした。内訳の主なものは「食料」が3万6322円、「住居」が1万3090円、「光熱・水道」が1万2610円などとなっています。
・持ち家で食費が抑えられるケースの支出額
持ち家であれば、上記の「住居」にかかる費用のすべてが不要になるかといえば、そうとも限りません。この住居費には、設備の修繕や維持、工事等の費用も含まれるためです。
持ち家であっても、外壁塗装や屋根・壁の修繕等は定期的に必要となります。ローンを完済しているのであれば、建物自体は古いと考えられるため、予期せぬトラブルが起こる可能性も否定はできないでしょう。
また、畑を所有し食費を抑えられるとしても、食べるものすべてを自給自足でまかなうのは簡単ではありません。畑で肉や魚をまかなうことはできず、調味料や飲料なども基本的には購入する必要があるためです。
この点を考慮すると、住居費は月平均で数千円程度、食料費も月に1万円前後はかかるとみておくのが妥当でしょう。その場合、65歳の単身世帯の1ヶ月の消費支出額は少なくとも10万円前後は必要となりそうです。
持ち家で食費が抑えられても年金のみでは厳しい
生活水準は人により異なるため、誰もが年金のみで生活ができないとは限りません。しかし、統計をもとに考えると、年金の6万円だけで生活するのは極めて困難といえます。また、消費支出額を毎月10万円以内に抑えられたとしても、それとは別に税金や社会保険料などの非消費支出も必要です。
家計調査によれば、2021年における65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の非消費支出の平均額は1万2271円です。同調査では、65歳以上の単身無職世帯の可処分所得から消費支出を差し引いた値はマイナス9402円となっています。つまり、多くの世帯で赤字となっているのが現状です。
年金のみで生活するためには
家計調査で公表されている消費支出の項目には、食料費や住居費の他に、被服費や交通費、教育費や娯楽費、交際費なども含まれています。これらを節約することで、さらなる消費支出の削減は可能です。
それでも決して楽な生活とはならないため、お金で苦労しない老後を迎えるためには、働いているときの貯蓄や資産形成が重要となってきます。家と畑を所有していて、十分な貯蓄や資産形成ができていれば、年金で毎月6万円程度しか収入がなくても自給自足で生活できる可能性はあるでしょう。
年金のみでの生活は難しいが貯蓄や資産形成次第では可能
老齢基礎年金の6万円程度で毎月生活していくことは、決して容易ではありません。持ち家で、かつ畑を所有しており自給自足ができたとしても、赤字となる可能性が高いでしょう。
ただし、退職前に貯蓄や資産形成を積極的に行うことで、老後は年金による収入のみで生活が可能となるケースもあります。いずれにせよ、消費支出を抑えるなどの意識と計画的な生活が、老後の安心へとつながりそうです。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー