更新日: 2023.05.02 定年・退職

退職金を2000万もらえたら老後は安泰? 退職金の手取り額っていくらなの?

退職金を2000万もらえたら老後は安泰? 退職金の手取り額っていくらなの?
もし、退職金を2000万円もらえたとしたらその手取り額はいくらになるのでしょうか。また、退職金が2000万円あればそれで老後は安泰といえるのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職金2000万円の手取り額ってどれくらいになるの?

退職金についての税金は非常に優遇されています。退職金のうち課税対象となる部分は下記のように算出されます。
 
退職金の課税額=(退職金の額-退職所得控除)×2分の1
 
退職所得控除は勤続年数が長ければ長いほど有利となり、長く会社に貢献した人ほど退職金にかかる税金が少なくなるようになっています。
 
図表1


出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
そして、課税額に対して所得税や住民税の税率がかけられて退職金にかかる税金額が確定します。退職金2000万円のおおよその手取りについて簡易的にシミュレーションすると下記のようになります。
 
図表2

勤続年数 所得税 住民税 税合計 手取り
10年勤務 120万4000円 80万円 200万4000円 1799万6000円
20年勤務 77万2500円 60万円 137万2500円 1862万7500円
30年勤務 15万2500円 25万円 40万2500円 1959万7500円

※筆者作成
 
このように、2000万円の退職金について発生する税金の割合は非常に小さく、手取りが大きくなります。通常2000万円も退職金をもらう場合、20年や30年単位で勤続していることが想定されます。
 
30年勤務して退職金を受け取ると2000万円の退職金に対する税金はわずか40万円ほどと、発生する税金は気にならないほどです。10年勤務した場合でも1800万円近い金額が手取りとして残ります。
 
その点を考えると、退職金の額が2000万円とかなり大きかったとしても税金についてはさほど悩まずともよさそうです。
 

退職金は2000万円あれば安泰?

総務省の家計調査年報によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の生活費はおよそ25万5100円となっており、年換算では306万1200円となります。それに対して年金収入は21万6519円となっており、年換算では259万8228円となります。
 
単純に50万近い金額が毎年不足する計算になりますが、それを退職金で賄うと考えると30年以上生活できるでしょう。
 
単身無職世帯においては1ヶ月の生活費が14万4747円となっており、年換算では173万6964円です。それに対して年金収入は1ヶ月12万470円、年換算では144万5640円となります。
 
年間の不足額は30万程度となりますが、それを退職金で賄うと考えると50年以上は生活ができるでしょう。統計を参考にすると、退職金が2000万円もあれば、年金が0円などよほどのことがない限り安泰の老後を送ることができるでしょう。
 

2000万円の退職金は資産運用するべき?

もし、2000万円についてどうするかと聞かれたら、おそらく、多くの方が全額貯蓄すると答えるでしょう。
 
しかし貯蓄していても退職金はほとんど増えません。せいぜいすずめの涙ほどの利息がつく程度です。少しでも退職金を長持ちさせたいのであれば投資信託などを用いて資産運用しながら使っていくべきです。
 
とはいえ、全額を運用するのはリスクが高いです。投資信託での運用は選択する商品によって程度の差はあれど元本割れのリスクが伴うからです。
 
それを踏まえ、おすすめなのは自身のリスク許容度に応じて一部を資産運用、残りを貯蓄しておくという方法です。この方法であれば、資産運用で一時的に元本割れがあっても極力心の平穏を保つことができます。
 

退職金を2000万円もらうことができれば老後は基本安泰!

もし、退職金を2000万円もらうことができれば老後は基本的に安泰だといっても差し支えないでしょう。退職金は税負担が小さくなっており、その大部分が手取りとして手元に残ります。
 
退職金は使い方が重要です。もし、退職金を将来受け取れる可能性があるならば、資産運用など使い方についても考えてみてください。退職金の使い方についてよく考え、それを実行することでより老後の生活を安定させることができるはずです。
 

 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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