更新日: 2023.07.01 セカンドライフ

60歳で「定年退職」したら、日本から出て海外で過ごしたい!資金はどれくらい必要?「年金」はどうなる?

60歳で「定年退職」したら、日本から出て海外で過ごしたい!資金はどれくらい必要?「年金」はどうなる?
老後の生活資金は2000万円不足するという情報もあり、老後の生活に不安を覚える人は多いでしょう。そのため、定年退職後は、物価の安い国への移住を、検討する人も増えています。
 
2000万円を貯金するよりは、生活費を下げるほうが、現実的な考え方といえます。本記事では、海外移住に必要な資金と、移住後の年金に関する情報を提供します。海外移住を検討している人は、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年退職後の海外移住

海外移住といっても、移住目的によって、移住先の選択肢は大きく変わります。例えば、老後の生活費を軽減したいのであれば、日本よりも物価が安い国を選ぶ必要があります。
 
また、温暖な気候のもとで、老後をゆっくり過ごしたいのであれば、寒暖差が少ない、穏やかな気候の国に移住することになります。まずは、移住の目的を定めてから、移住先の検討をしましょう。
 

移住先の選定

老後の海外移住先を決めるには、以下のポイントがあります。


・気候が温暖
・治安がよい
・医療に不安がない
・物価が安い
・移住ビザが取りやすい

上記を考慮して、移住先を選ぶ必要がありますが、実際に、移住先として人気がある国や地域は、表1のとおりです。
 
【表1】

国名・都市名 特徴
タイ ・退職者に向けたリタイアメントビザがある
・日本に比べて物価が安い
・一年を通じて気候が温暖
・地下鉄などの交通機関が発達している
・日本語だけで生活できるエリアもある
・日本との航空路線が多い
・医療費は私立病院を利用すると高い
フィリピン ・退職者ビザ(SRRV)がある
・日本に比べると物価が安い
・雨期はあるが、一年を通して過ごしやすい気候
・米料理も多く、刺激が少ない料理で、日本人にも食べやすい
・東南アジアでは最も日本に近い
・英語が通じる親日国
・交通渋滞が多い
ポルトガル ・ビザや永住権が取りやすい
・日本と比較しても物価が安い
・年間10~21℃の気温で過ごしやすい
・消費税が高い
インドネシア ・55歳以上のリタイアメントビザがある
・物価が安い(ハウスキーパーを雇っても日本より安い生活費)
・親日国
・治安、医療事情はあまりよくない
・交通渋滞が激しい
ハワイ ・リタイアメントビザがないので、グリーンカードを
取得して永住権を得るか、90日間の滞在を繰り返す
・雨期と乾期があり、年間の気温は20~31℃
・物価はアメリカの平均を上回る
・退職後の移住先としては資金に余裕が必要

 

移住資金の相場

海外移住にかかる費用は以下のとおりです。


・渡航費用
・引っ越し費用
・ビザ取得の費用
・当面の生活費

上記の費用は、移住先によって違いはありますが、相場は以下の金額とされています。
 

◆先進国

・移住費用:100~150万円(夫婦二人)
・生活費:月20~30万円(一人当たり)

 

◆東南アジアなどの物価の安い国

・移住費用:50~80万円(夫婦二人)
・生活費:月15万円(一人当たり)

 

移住のメリット・デメリット

定年退職後に海外移住するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
 

◆メリット

・生活費の安い国に移住することで、老後の生活が安定する
・寒暖差の小さい国に移住すれば、体調を崩す可能性が低くなる

 

◆デメリット

・移住当初は物価が安くても、将来変動するリスクがある
・日本ほどには、生活の利便性が高くない場合もある
・長期滞在のビザ発給に、経済的条件が付くことがある(高額な定期預金など)
・政情が不安定になる可能性がある

 

海外移住した場合に年金はどうなるのか

退職後に海外移住する目的のひとつには、支給される年金で、日本でよりも楽に暮らしたいという考えがあります。そのため、海外に移住しても、年金はきちんと支給されるのかどうかは、気になるところです。
 
結論からいえば、年金の支給が決定すれば、日本に住んでいなくても、年金は振り込まれます。ただし、そのためには、きちんと手続きをする必要があります。
 

海外移住後も年金受け取りは可能

年金の支給が決定すれば、海外に居住していても、年金は支給されます。しかし、定年退職後に海外移住するのであれば、年金支給の決定前に、移住することになります。
 
その場合は、海外居住地から必要書類を添付して、年金請求書を送付します。海外に転居している場合は、国内居住者とは違う書類も必要になりますので、事前に手配しておく必要があります。
 
5年間は請求の権利がありますが、65歳の誕生日前日から請求できますので、なるべく早く手続きを完了しておきましょう。
 
年金の振り込み先は、海外の銀行でも構いませんが、銀行を特定するコードが日本とは違うため、事前に調べる必要があります。なお、通貨は、日本円ではなく、国ごとに決められている通貨で振り込まれます。
 

移住後も年金を受け取るために必要な手続き

海外移住者が年金を受け取るために必要な具体的な手続きは表2のとおりです。
 
【表2】

年金請求書の取得 日本年金機構のサイトから「年金請求書(国民年金・
厚生年金保険 老齢給付)様式第101号」をダウンロード
添付書類 ・生年月日を明らかにできる書類
 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票など
 
・受取先金融機関の通帳など
 海外の金融機関の場合は、送金コードが必要になることが多い
提出時期 老齢年金の受給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)以降
提出先 日本の最終住所地を管轄する年金事務所、
または年金相談センター

 
海外移住をしなくても、年金は、請求をしなければ支給されません。書類に関しては、海外移住の場合は、移住先の事情なども影響します。移住先が決まった段階で、一度、年金事務所などに、手続き書類を確認しておきましょう。
 

海外移住するときの注意事項

例えば、海外の移住先として、マレーシアは人気がありますが、コロナ禍の影響で、長期滞在ビザの条件が厳しくなっています。金銭面では、以下のように変更されています。


・マレーシア銀行への定期預金……450万円(50歳以上)→ 3000万円(改定後)
・保有資産(流動資産)の証明額……1050万円(50歳以上)→ 4500万円(改定後)

※ 1マレーシアリンギット=30円で計算

4500万円の資産があれば、国内でも十分生活できますので、高齢者の移住先としては、あまりメリットがありません。
 
このように、長期滞在できるビザの条件についても、注意する必要があります。さらに、移住するにあたっては、以下の点にも注意して、事前に調べておきましょう。


・移住先の医療事情
・移住先の税金の事情

 

海外移住後も年金は受け取れるが、メリット・デメリットを考慮して移住すべき

定年退職後に海外へ移住することは、限られた老後の資金を、効率よく使うための方法のひとつです。特に、物価の安い国に移住すれば、効果は高まりますが、医療が充実していなかったり、治安が悪かったりといったデメリットも存在します。
 
老後の生活費の中心となる年金の受け取りは、海外でも可能ですが、デメリットも十分に考慮したうえで、海外移住を検討しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が海外に転出するとき
日本年金機構 海外にお住まいの方の年金の請求
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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