更新日: 2023.07.09 その他老後

自己破産の「26%」が60歳以上!? 老後破産してしまう人の特徴を解説

自己破産の「26%」が60歳以上!? 老後破産してしまう人の特徴を解説
老後は現役時代よりも収入が減る傾向にあります。毎月の収支が赤字になり、現役時代にためた資金を取り崩しながら生活する人もいるでしょう。人生100年時代とも呼ばれている中で、この状況が長引けば資金は枯渇し、いずれは老後破産に陥ってしまうかもしれません。
 
本記事では、老後破産しやすい人の特徴を解説します。特徴を理解しておくことで、おのずと自身の取るべき対応が見えてくるかもしれません。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

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老後破産とは

まず、老後破産とは、老後の収入だけでは生活費などを賄えず、日常生活を送ることが困難になってしまう状態を指します。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会の資料によると、60歳以上で自己破産した人の割合は25.72%にのぼります。
 
老後破産は生活が困難な状態の人を指すため、自己破産申請した人だけが対象ではありません。そのため、自己破産していない人も考慮にいれると、もう少し老後破産者の割合は高くなるといえそうです。
 

老後破産しやすい人の特徴

ここからは、老後破産しやすい人の主な特徴について見ます。
 

生活水準が現役時代のまま

1つ目は「生活水準が現役時代のまま」の人です。
 
年金生活が始まると、現役時代よりも収入が低下する人の割合は高くなります。そのため、現役時代と同じ水準のままで生活してしまう人は、収支がマイナスになってしまい、老後破産に陥りやすくなります。
 

想定外の費用が発生した

2つ目は「想定外の費用が発生する」ことがあげられます。
 
次のような想定外の費用が発生してしまうと、老後破産のリスクも上昇してしまいます。
 
・親の介護
まずは親の介護です。自身の老後生活を見据える際に、夫婦の健康問題、特に介護費用などは事前に備えている人もいるでしょう。しかし、親の介護が必要になる可能性は想定してはいるものの、その費用は親の収入や貯蓄で対応できるだろうと思いこみ、対策をしていない人もいるかもしれません。
 
親の介護にかかる負担が想像以上に大きく、親の収入や貯蓄では賄いきれない場合もあるでしょう。その結果、親の介護が重荷になり、老後破産を招いてしまうこととなるのです。
 
・多額の賠償金
次に、多額の賠償金が発生してしまう場合です。自身や家族が交通事故などの加害者となってしまい、多大な損害賠償を請求されてしまうことで、老後破産を余儀なくされることもありえます。
 
特に、自転車事故を起こしてしまう場合では、自転車保険に未加入の場合、損害賠償の全額を自己負担することがあります。これが要因となり、老後破産を招いてしまうのです。過去の事例でも自転車事故で加害者になってしまい、数千万円という巨額の損害賠償を命じられた場合も存在します。個人で数千万円もの損害を負担するとなれば、多くの人が老後破産を避けられない状況に陥るでしょう。
 
このような背景から、現在では国が条例で自転車保険の加入を促進しています。それを受けて、2023年4月1日現在、32都府県が自転車保険への加入義務化を実施しています。
 

健康問題を抱えてしまう

高齢になると健康状態に問題が生じやすくなる人も増えてくるでしょう。75歳以上になれば、後期高齢者医療制度に変わり、最小1割負担で医療を受けられますが、現役時代より医療機関へ通う頻度が増えてしまえば、負担額は増加してしまいます。
 
また、夫婦どちらかが介護の必要な状態に陥った場合は介護費用が発生し、経済的な負担がさらに増加してしまいます。
 

老後破産しないためにも長期的な計画を

老後破産とは、老後の収入だけでは生活費などを賄えず、日常生活を送ることが困難になってしまう状態を指します。老後破産しやすい人の特徴は「生活水準が現役時代のまま」「想定外の費用が発生した」「健康問題を抱えている」です。
 
老後破産を回避するためには、現役時代から資産形成を行い、老後資金の枯渇を防止することが重要です。また、老後生活に入ってからも、労働を続けることで老後資金の目減りを遅らせることが可能です。健康寿命を延ばすことで医療費や介護費用が発生しづらくなるでしょう。
 
それでも将来、老後破産に陥ってしまうこともあるかもしれません。その場合は、1人で悩まず、弁護士やファイナンシャル・プランナー、地域包括支援センターなどの専門家や専門機関に一度相談してみるのも1つの解決策といえるでしょう。
 

出典

日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査
国土交通省 自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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