更新日: 2023.07.14 セカンドライフ

65歳以上の夫婦2人は「月27万円」必要!? 支出を年金だけでまかなうために、現役時代の年収はいくら必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳以上の夫婦2人は「月27万円」必要!? 支出を年金だけでまかなうために、現役時代の年収はいくら必要?
子育ても終わり、仕事も一段落した老後は、夫婦そろって年金だけでゆっくり過ごしたいと考える人も多いのではないでしょうか?
 
ただ、現実は厳しく、総務省によると65~69歳の人の2人に1人以上は働いています。就業率の高さからも、多くの人は老後に年金だけで生活費を捻出するのが厳しいと思われます。
 
とはいえ、年金だけで生活している家庭ももちろんあります。老後の生活費をすべて年金でカバーするには、いったい現役時代にいくらくらい稼げばよいのでしょうか? 本記事では、現役時代に夫が会社員、妻が専業主婦だった夫婦について、具体的にシミュレーションしています。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

65歳以上夫婦の平均的な支出は月27万円

総務省の「家計調査報告 家計収支編2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみで、かつ無職である世帯の支出は、消費支出は23万6696円、非消費支出は3万1812円で、合わせると26万8508円、約27万円です。
 
消費支出は食費や住居費、光熱費、娯楽費といった生活する上での支出で、非消費支出は税金と社会保険料によって構成されています。
 

月27万円を年金で受け取るには、現役時代いくら稼げばよいのか

それでは、年金で月27万円受け取るためには、現役時代いくら稼げばよいのか、シミュレーションしていきましょう。月に27万円なので、年間で必要な金額は324万円です。
 
今回の想定は会社員の夫と専業主婦の妻なので、年金は夫が老齢基礎年金と老齢厚生年金、妻が老齢基礎年金を受け取れます。仮に夫も妻も老齢基礎年金は未納期間がなく、満額分が受け取れるとすると、老齢基礎年金は1人あたりで年間79万5000円(令和5年度)受け取れます。そのため、夫婦2人分では159万円です。
 
年間で必要な金額の324万円に対し、2人分の老齢基礎年金が159万円なので、残りの165万円を夫の老齢厚生年金の報酬比例部分で受け取る必要があります。なお、今回は経過的加算や加給年金といった、プラスアルファ分は考慮しません。
 
報酬比例部分の金額を求める計算式は、以下のとおりです。
 
平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数
 
仮に、厚生年金の加入期間が40年間、480月とすると、報酬比例部分で165万円以上受け取るには、月収が平均で63万5000円必要です。年収に換算すると、762万円です。
 

年収762万円稼ぐ人は10人中1~2人程度。対策を早めに考えよう

年収762万円稼げば、老後の平均的な生活を年金だけで捻出できます。しかし、いったいどれくらいの人が該当するのでしょうか。
 
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、別給与所得者の平均年収は433万円で、年収700万円を超える人は15%未満です。つまり、10人いたら、年収762万円を稼ぐ人はせいぜい1~2人程度です。そのため、多くの人は年金のみに頼らず、生活をするために老後も働いたり、早めに対策をしていたりします。
 
老後も働けるうちは働くというのも、もちろん大切ですが、どういう状況になっているかは分かりません。若いうちから貯蓄を計画的にしておく、自分の将来の支出と年金額を早めにシミュレーションしておくなど、対策を早めに考えておくとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集