更新日: 2019.01.10 介護
介護保険サービス利用の際の「基本チェックリスト」って何?
要支援者に対する「訪問介護」と「通所介護」が全国一律の公的介護保険サービスから外れ、「総合事業」に移行し、地域の実情に合わせたサービスの提供を受けることになります。
これに伴い、介護サービス利用の流れの中に「基本チェックリスト」が組み込まれています。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
サービスを利用するには
介護保険サービスを利用するには、地域包括支援センターなどの窓口に相談します。相談の結果、要介護認定が必要なサービスを希望する場合は、要介護(要支援)認定の申請をします。申請の窓口は地域包括支援センターや介護保険課です。申請は本人のほか家族などもできます。
一方、介護予防・生活支援サービス事業(訪問・通所サービス)などの利用を希望する方は、相談窓口で要支援相当に該当するか「基本チェックリスト」を受けます。ただし、「基本チェックリスト」を受けるのは65歳以上の方です。
要介護(要支援)認定申請後の流れ
公的介護保険を利用するには、「要介護(要支援)認定」の申請を行い、要介護度を判定してもらう必要があります。申請を行うと、訪問調査が行われます。
調査員が自宅等を訪問し、全国共通の74項目について本人や家族から聞き取ります。訪問調査と主治医の意見書をもとにコンピューターによる一次判定がなされます。さらに、保健・医療・福祉の専門家により構成される「介護保険認定審査会」により、一次判定の結果と主治医の意見書などをもとに二次判定が行われ、要介護度が判定されます。
判定の結果は、介護予防が必要な「要支援1.2」、介護が必要な「要介護1~5」、介護保険の対象とならない「自立」(非該当)です。なお、「自立」(非該当)の方は、「基本チェックリスト」を受けて、総合事業を利用することが可能です。
「基本チェックリスト」を受けた後の流れ
「基本チェックリスト」の25の質問項目に「はい」「いいえ」で答えて、日常生活の機能が低下していないかどうかが判定されます。質問項目は、運動機能の低下、低栄養状態、口腔機能の低下、閉じこもり、認知機能の低下、うつの可能性を判定する内容となっています。
「チェックリスト」の結果、生活機能の低下が見られた場合、総合事業の「介護予防・生活支援サービス事業(訪問・通所サービス)を受けることができます。
生活機能の低下が見られない場合は、総合事業の「一般介護予防事業」を受けることができます。なお、「一般介護予防事業」は、65歳以上の方であればだれでも利用できます。
・基本チェックリストの質問項目例
NO1.バスや電車で1人で外出していますか
NO3.預貯金の出し入れをしていますか
NO6.階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
NO11.6か月間で2~3キログラム以上の体重減がありましたか
NO14.お茶や汁物等でむせることがありますか
NO16.週に1回以上外出していますか
NO21.(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
「基本チェックリスト」のメリット
「要介護認定」の場合、申請から認定結果が通知されるまで1か月程度かかります。
「介護予防・生活支援サービス事業(訪問・通所サービス)のみを希望するのであれば「基本チェックリスト」を受けることによりすぐにサービスの利用が可能になります。
もちろん、「基本チェックリスト」を受けても要介護(要支援)認定の申請をすることもできます。相談窓口でどのようなサービスを希望するのか、しっかりと伝えましょう。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。