更新日: 2023.11.25 セカンドライフ
夫婦で年金月額「18万円」だった場合、定年後は月いくら稼げばいいですか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
夫婦の生活費はどれくらいかかるのか
最初に、一般的な年金暮らしの夫婦の生活には、どれくらいの生活費がかかっているのか、確認してみましょう。総務省統計局の「家計調査年報」によると、2022年における1ヶ月当たりの平均的な支出は、26万8508円となっています。
ただし、最低限の生活費で考えると、支出はもう少し小さくなるかもしれません。公益財団法人生命保険文化センターが行った調査によると、老後に夫婦2人で生活するために最低限必要な生活費については、1ヶ月当たり20万円から25万円と答えた方が最多であり、回答者全体の27.5%に当たります。なお、平均値は23.2万円でした。
ここから、年金を含めて最低でも23万円程度、できれば27万円程度は、生活費として確保できるようにしておくべきだ、ということが分かります。
なお、同センターの調査には「わからない」との回答が全体の22.5%あります。「最低限の生活費」といっても必要な額は夫婦によってさまざまであり、なかなか一概にはいえない部分が多いことが分かります。
ゆとりある生活を送る場合は、さらにお金が必要になる
先に見たとおり、23万円から27万円程度のお金があれば老後生活ができるか、といえば、そうとはいいきれない部分もあります。先に見たものは、あくまでも最低限の生活費や、統計上一般的な生活費です。
人によっては老後、趣味を楽しんだりさらに知見を広げていったりしたい、と考えている方もいるでしょう。そういった場合には、先の金額では足りない可能性が高いです。
同じく、公益財団法人生命保険文化センターによれば、「ゆとりある老後生活費」として必要な金額は、平均37.9万円となっています。具体的な金額での回答は、1ヶ月当たり30万円から35万円未満と答えた層が最も多く、全体の20.5%でした。
ここから考えると、老後に趣味を楽しむなど余裕のある生活を望むのであれば、毎月の生活費は30万円程度を見込んでおいた方がよさそうです。
ただし、次いで多かったのは、50万円以上という回答で、全体の18%ありました。また、最も多かったのは「(金額が)わからない」という回答で、全体の22.5%となっています。
そのため、ゆとりある生活を送りたいのであれば、どのくらいの金額が必要になるか、個別の試算が必要です。
夫婦で暮らすために、定年後はいくら稼ぐべきか
夫婦で暮らしていくために、定年後はいくら稼ぐべきであるのか算出する方法は、そう難しくありません。現在の生活費、受け取る予定の年金額、定年後にたまっているであろう老後資金の額、そして何歳まで生きるか、といった情報から推測できます。
例えば、以下のような条件のもとに考えてみましょう。
・現在の生活費から考えて、老後の生活費は1ヶ月当たり22万円
・定年後に受け取る年金額と時期は、65歳から、1ヶ月当たり18万円の予定
・定年までには1000万円をためる予定
・夫婦で90歳まで生きる
すると、65歳から25年間の生活費は、6600万円だと分かります。それに対して年金収入は5400万円です。年金収入の不足する金額1200万円に対して、定年後の生活資金は1000万円しかなく、200万円の不足です。すると、毎月7000円程度を25年間稼げば、少なくとも90歳までは生活できる、という具合です。
とはいえ、90歳まで働きつづけるのは大変なものです。そこで「定年後に2年間フルタイムで働き、200万円を貯金してその後の生活に備える」などといった工夫もできます。
このように、今の生活を基準に考えていくことで、定年後いくら稼ぐべきかが分かってきます。
まとめ
一口に「1ヶ月当たりの年金が18万円」といっても、定年後に何円稼ぐべきなのかは夫婦のライフスタイルによって異なります。もし、定年後に何円稼ぐべきなのか不安になったときは、老後のライフスタイルから生活費を想定してみて、それを賄うために必要な金額を稼ぐように考えてみてください。
そうすることで、定年後にどれくらい稼ぐべきなのかという疑問を解消し、老後に備えていくことができます。その際は、少し余裕を持たせた金額にしておくと安心できるので、ギリギリの金額で試算しないことをおすすめします。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
執筆者:柘植輝
行政書士