60歳で定年退職するなら、年金受け取りの65歳までの「生活費」としていくら貯蓄すればよい?

配信日: 2023.12.16

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60歳で定年退職するなら、年金受け取りの65歳までの「生活費」としていくら貯蓄すればよい?
近年では、65歳や70歳まで働けるように企業へ向けた法整備が行われていますが、なかには60歳を定年と定めている企業もあります。
 
厚生年金は65歳から受給できるため、繰上げ受給をしない、および再雇用を選択しない方のなかには、今後の生活資金において不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
 
そこで本記事では、60歳で定年を迎える場合の老後資金について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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60歳で定年を迎える場合の注意点

60歳で定年退職して再就職しなかった場合、年金の受給については注意しなければなりません。
 
なぜなら、老齢年金が受け取れる年齢は、原則として65歳からであるからです。手続きをすることで、60歳から年金を受け取る「繰上げ受給」も可能ですが、請求する時期に応じた割合が減額されてしまいます。減額される年金の割合は表1・表2の通りです。
 
表1
【昭和37年4月1日以前生まれの方】

請求時の年齢 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月 11ヶ月
60歳 30.0% 29.5% 29.0% 28.5% 28.0% 27.5% 27.0% 26.5% 26.0% 25.5% 25.0% 24.5%
61歳 24.0% 23.5% 23.0% 22.5% 22.0% 21.5% 21.0% 20.5% 20.0% 19.5% 19.0% 18.5%
62歳 18.0% 17.5% 17.0% 16.5% 16.0% 15.5% 15.0% 14.5% 14.0% 13.5% 13.0% 12.5%
63歳 12.0% 11.5% 11.0% 10.5% 10.0% 9.5% 9.0% 8.5% 8.0% 7.5% 7.0% 6.5%
64歳 6.0% 5.5% 5.0% 4.5% 4.0% 3.5% 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5%

※日本年金機構「年金の繰上げ受給」を基に筆者作成
 
表2
【昭和37年4月2日以降生まれの方】

請求時の年齢 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月 11ヶ月
60歳 24.0% 23.6% 23.2% 22.8% 22.4% 22.0% 21.6% 21.2% 20.8% 20.4% 20.0% 19.6%
61歳 19.2% 19.2% 18.4% 18.0% 17.6% 17.2% 16.8% 16.4% 16.0% 15.6% 15.2% 14.8%
62歳 14.4% 14.0% 13.6% 13.2% 12.8% 12.4% 12.0% 11.6% 11.2% 10.8% 10.4% 10.0%
63歳 9.6% 9.2% 8.8% 8.4% 8.0% 7.6% 7.2% 6.8% 6.4% 6.0% 5.6% 5.2%
64歳 4.8% 4.4% 4.0% 3.6% 3.2% 2.8% 2.4% 2.0% 1.6% 1.2% 0.8% 0.4%

※日本年金機構「年金の繰上げ受給」を基に筆者作成
 
一度、繰上げ受給をしたことで減額された場合、その後も生涯にわたって、減額後の年金額を受け取ることになります。繰上げ受給を検討している場合は、慎重に決めましょう。
 

60歳で年金を受け取らない場合、65歳までの生活費を工面するには?

60歳で定年退職して、再就職せずに、年金を原則通り65歳から受け取る場合の、生活費をまかなう方法の例は以下の通りです。
 

・退職金を充てる
・これまでの貯蓄を充てる

 
60歳の定年後に働かず、年金も受け取らない場合、受給までの5年間は退職金や貯蓄を取り崩しながら過ごすことになります。
 

60〜65歳の間に必要な生活費は?

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編) 2022年(令和4年) 家計の概要」によると、二人以上世帯の60~69歳の平均消費支出額は、月約30万円とのことです。そのため、単純に5年間(60ヶ月)生活することを考えると、約1800万円が必要となる計算になります。
 
ちなみに、厚生労働省が発表した「令和5年就労条件総合調査」によると、大学卒業で定年退職した場合の退職金の平均は、1896万円とのことです。
 
5年間の生活に必要な1800万円を上回るため、退職金だけでもまかなえますが、その後の生活のこともありますので、60歳で定年退職するならば、5年分の生活費を貯蓄しておくほうが理想的でしょう。
 

60歳で定年退職するなら早めの貯蓄を!

老齢年金の受給は、65歳からが原則です。そのため、60歳で定年退職して、再就職しない場合は、5年分の生活費をまかなう方法を考えておきましょう。
 
ただし、生活に必要な費用や退職金は個人によって大きく異なるため、ご自身にあったマネープランを考える必要があります。年金の繰上げ受給も可能ですが、受給額が減額されてしまうため、今のうちから貯蓄などを行い、準備することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されました
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
日本年金機構 年金の繰上げ受給
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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