更新日: 2024.01.18 定年・退職

「貯金ゼロ」ですが、退職金や年金を受け取り定年後も働けば問題ないですか?

「貯金ゼロ」ですが、退職金や年金を受け取り定年後も働けば問題ないですか?
定年が近いにもかかわらず、貯蓄額が少ない、または貯金がまったくない場合は、定年後も働くことを選択する方もいらっしゃるでしょう。
 
本記事では、60・70代の貯蓄がない人の割合とその平均貯蓄額、65歳以上の世帯の平均支出額について紹介して、貯蓄がない人でも働き続ければ生活できるのかを解説します。
 
貯蓄が少なくて、定年後の生活に不安を抱えていらっしゃる方は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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60代と70代の金融資産非保有者の割合は?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、金融資産非保有社の割合および平均貯蓄額は、表1の通りです。
 
表1

世帯主の年齢別 金融資産非保有の人の割合 平均貯蓄額
60代 20.8% 1819万円
70代 18.7% 1905万円

※金融広報中央委員会「令和4年家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」より筆者作成
 
表1より、60代および70代において、それぞれ平均貯蓄額は2000万円近いにもかかわらず、金融資産非保有つまりは貯蓄がないと回答した方が、2割近くいることが分かりました。
 

65〜100歳までの平均支出額は?

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヶ月あたりの平均支出は表2の通りです。
 
表2

項目 1世帯の1ヶ月あたりの支出
食費 6万7776円
住居費 1万5578円
水道光熱費 2万2611円
家具・家事用品費 1万371円
被服・履物費 5003円
保険医療費 1万5681円
交通・通信費 2万8878円
教養娯楽費 2万1365円
その他の消費支出 4万9430円
非消費支出 3万1812円
(支出の合計) 26万8505円

※総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」を基に筆者作成
 
また同調査によれば、年金を含めた平均実収入は24万6237円ですので、表2の支出の合計26万8505円から引くと毎月2万2268円不足することになります。
 
1年間に換算すると26万7216円、10年間だと267万2160円、そして定年を迎えた65歳から100歳まで生きたとして、35年間だと935万2560円不足することになります。
 

貯蓄ゼロでも退職金・年金を受け取り定年後も働けば生活できる?

前述した通り、年金を毎月受け取ったとしても、65歳から100歳までに935万2560円が不足します。また通常ならば、これらを退職金と貯金でまかなうことになります。
 
しかし貯金がない場合は、退職金と定年後に働いて得た収入で、生活資金を確保する必要があるでしょう。退職金が十分にあれば、定年後も働き続けることで、ある程度の生活はできます。
 
しかし今後、体力的に働くことができなくなったり、けがや病気になったりした場合に備えて、資金は余分に準備しておいたほうが安心です。
 

貯蓄がない人はまず家計の収支を確認して、貯金ができる体制を整えよう

定年時に貯金がまったくない状態でも、退職金がある程度あれば、定年後も働くことで、ある程度の生活は可能です。
 
しかし、体力的に働くことができなくなることや、けがや病気などの備えのために、貯金をして余裕を持っていたほうが安心でしょう。定年が近くなり、貯金がまったくない状態の場合は、まず家計の収支を確認して、貯金ができる環境を作りましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)表番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2022年-(18ページ)
表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年-(19ページ)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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