定年後は「同じ業種」での起業を計画!すると会社から「退職金を出さない」と言われました…
配信日: 2024.02.15
しかし、それだけを理由に、定年後に同じ業種での起業を計画している社員に対して「退職金を出さない」とすることは認められるのでしょうか。
本記事では、競業禁止が有効となるケースについて、詳しくご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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競業避止義務とは?
日本国憲法第22条では「職業選択の自由」について定められているため、基本的には定年後に同じ業種で起業することや、同業他社への転職は可能です。
しかし、就業規則などで競業を禁止する旨の規定がある場合は、違反した場合になんらかのペナルティーが課されるおそれがあります。
厚生労働省によると、競業避止義務とは、使用者の利益に著しく反する競業行為を差し控える義務のことをいいます。
さらに、競業避止義務に違反した場合は「就業規則に基づき、懲戒処分や損害賠償請求をなし得る」とされています。
まずは現在勤めている会社の就業規則を確認しよう
退職後の競業を禁止する規定があるかどうかは、会社の就業規則で確認しましょう。
ただし、あらかじめ就業規則に競業禁止の特約があっても、その内容が合理的なものでなければ、有効とされない可能性があります。
内容の合理性を判断するポイントには、次のようなものがあります。
●競業禁止の特約について労働者が合意しており、勤務継続の前提とされていた
●労働が営業秘密に直接かかわっていたなど、競業を禁止することによる会社側の正当な利益が存在している
●競業禁止の期間や地域・職種などの範囲が相当な限度を超えていない
●競業禁止によって労働者が受ける不利益に対して、金銭の支払いなどの代償措置がとられている
退職金の全額不支給が認められるのは、重大な背信行為があった場合に限られる
競業禁止の特約があり、労働者がそれに違反した場合に、会社側が「退職金を払わない」とすることは認められるのでしょうか。
過去の退職金全額不支給が認められなかった裁判例では、就業規則に定めはあったものの「全額不支給は元労働者の職業選択の自由に重大な制限を加える極めて厳しいもの」ということが理由として挙げられたようです。
退職金の全額不支給が認められる場合としては、単に競業禁止に違反したというだけではなく「労働者に重大な背信行為があった場合に限られる」とされました。
退職金の全額不支給が認められる可能性は低い
会社の就業規則などに競業を禁止する旨の規定がある場合に、定年後に同じ業種で起業することに対して、会社から「退職金の不支給」を言い渡される可能性はあります。
まずは、現在勤めている会社の就業規則を確認して、競業に関してどのような規定があるのかを調べておきましょう。
ただし、規定があったとしても、単に競業禁止に違反しただけでは退職金の全額不支給は認められない可能性が高いため、会社としっかり話し合いをすることをおすすめします。
出典
デジタル庁 e-GOV法令検索 日本国憲法(昭和二十一年憲法) 第三章 国民の権利及び義務 第二十二条
福井県 労働委員会事務局 職場のトラブルQ&A ~競業禁止と退職金不支給~
厚生労働省 中央労働委員会 労働紛争の調整事例と解説 2 労働関係の展開(5)賃金 [19] 退職後の競業行為を理由とする退職金の不支給(1ページ)
広島県商工労働局雇用労働政策課 広島県雇用労働情報サイト わーくわくネットひろしま 労働相談Q&A 8-14 退職後に同業他社に就職した場合,退職金を不支給とする規定は有効か
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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