更新日: 2024.04.08 定年・退職
独り身で65歳になる父が、このまま「年金15万円」と「貯金300万円」で暮らしていくと言っています。本当に年金と貯金だけで生活できるのでしょうか?「老後破産」してしまわないか心配です…
定期的な年金収入があるので、できれば働かずに年金と貯金だけで老後の生活をしたいと考えている人も多いのではないでしょうか? しかし、物価の上昇や光熱費の値上げといったこともあり、年金と貯金だけで生活できるか不安に感じる人もいるでしょう。
そこで本記事では、独身の高齢者が月15万円の年金と貯金300万円を取り崩すことで生活できるのか、解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金収入が月15万円は可能?
そもそも年金収入が月15万円ということは可能なのでしょうか?
令和6年度からの標準的な年金額は夫婦2人の場合で「月に23万483円」です。その内訳は老齢基礎年金(満額)が月6万8000円で夫婦2人分、老齢厚生年金が月9万4483円となっています。令和5年度は月22万4482円だったので、6001円支給が多くなります。
また、独身で会社員だった場合は、老齢基礎年金が月6万8000円、老齢厚生年金が月9万4483円なので、年金収入は月に16万2483円です。標準的な年金は、平均標準報酬(過去の報酬額と賞与を合わせた合計額)が43万9000円の人を想定しています。
そのため、年金収入が月15万円であることは可能といえるでしょう。
独身の高齢者の平均支出は
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月14万5430円、税金や健康保険料などの非消費支出は1万2243円となっています。年金収入が15万円の場合、平均的な支出であれば、多少の節約は必要なものの何とか生活することができそうです。
しかし、平均的な支出の住居費は1万2564円となっています。こちらについては持ち家と賃貸で変わってくるでしょう。また、高齢者になると病気やけがのリスクも増えてしまいます。そこで、病気やけがなどによって医療費や介護費、入院費が別途かかる可能性もあるので注意が必要です。
そのため、実際の生活費は平均的な支出よりも多くかかることを想定し、余裕をもって支出できるようにするとよいでしょう。
貯金300万円を65歳から80歳の間、取り崩した場合
年金収入の月15万円のみだと支出に余裕がありません。そこで、貯金を取り崩して補填することを考えます。本事例のように、貯金が300万円の場合、65歳から80歳までの15年間で取り崩すと考えると、月に1万6666円を補填可能です。
これを月15万円の年金に加えると、16万6666円になります。平均的な支出は月15万7673円なので、月9000円ほど余裕をもって使うことが可能となりました。
家族で話し合い、老後の生活について一緒に考えてみましょう
年金収入15万円と平均的な支出を考えると、80歳まで生活する場合は赤字を出さずに生活することができそうです。しかし、人生100年時代と言われている昨今では、80歳以上長生きすることも珍しくありません。
90歳まで生活した場合は、300万円を取り崩すと月1万円の補填ができますが、長生きすればするほど、補填できる金額は少なくなっていくことを覚えておきましょう。
また、物価の上昇や光熱費の高騰は今後も続く可能性があります。そのため、支出が今後多くなっていくことも考えられるので、年金収入だけでは生活できなくなることもあるでしょう。そこで、65歳以上でも働くことや貯金を増やすことも検討してみてください。
自分の家族が年金と貯金のみで生活しようと考えている場合は、生活費の確認を家族でしてみることもおすすめです。実際の支出と年金収入をみることで生活できるかをシミュレーションできます。まずは家族で話し合い、老後の生活について一緒に考えてみましょう。
出典
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 は行 平均標準報酬月額
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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