更新日: 2024.05.01 定年・退職
59歳「年収480万円」の会社員。60歳の定年後は「任意継続」のほうがお得?「国民健康保険」に切り替えた場合との保険料を試算
本記事では、社会保険の任意継続を選んだ場合と国民健康保険に加入した場合での保険料をそれぞれ試算し、どちらがお得になりそうかシミュレーションします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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社会保険の任意継続とは?
「任意継続」とは、社会保険加入期間が2ヶ月以上ある場合に、退職後も最長2年間社会保険に加入し続けることができる制度です。定年退職後に勤務先での継続雇用を希望しない場合に、任意継続か国民健康保険に加入するか選ぶことになります。
令和4年1月から、加入する健康保険組合に任意継続から脱退を希望することを申し出た場合は、その申請が受理された日の翌月1日に任意継続資格を喪失して国民健康保険へ加入できるようになりました。
任意継続を選ぶと、今まで勤務先が折半して負担していた保険料を自分で全額負担することになり、家計への影響が大きくなる場合もあるので注意が必要です。
定年退職前年の年収で、健康保険料はいくらになる?
任意継続と国民健康保険の保険料はそれぞれ、退職時(前年)の所得によって決まります。タイトルの年収480万円(月収40万円)の場合、定年後の任意継続と国民健康保険の保険料はいくらになるのでしょうか。
・年収480万円(月収40万円)東京都中央区に在住で、協会けんぽに加入していた場合(配偶者の収入無し、ボーナスなどは計算から除外)
在職時の保険料:年額28万4868円(月額2万3739円・令和6年度の標準報酬月額41万円)
任意継続保険料:年額41万6880円(月額3万4740円)
国民健康保険料:年額約49万8700円(月額約4万1558円)
任意継続と国民健康保険を比べた場合、任意継続のほうが安くなっているのはなぜでしょうか。その理由は、任意継続での標準報酬月額の上限が30万円に設定されているからです。
退職時(前年)の給与が月収30万円より高い人ほど退職後1年目の保険料がお得になります。
定年後にアルバイトをする場合、任意継続は続けたほうが良い?
定年後にアルバイトをする場合、任意継続は続けたほうが良いのでしょうか。
例として、東京都中央区在住で退職前年収480万円(月収40万円)、60歳で定年退職後にアルバイトで働き年収96万円(月収8万円)での退職後3年間の健康保険料を試算して比べてみましょう。
(1)任意継続に2年間加入して、その後1年間は国民健康保険に加入
(任意継続保険料年額41万6880円×2年)+国民健康保険料年額15万2600円=約98万6360円
(2)任意継続に1年間加入して、その後2年間は国民健康保険に加入
任意継続保険料年額41万6880円+(国民健康保険料年額15万2600円×2年)=約72万2080円
「任意継続に1年加入」して、2年目に国民健康保険に加入したほうが、保険料負担を約26万4280円減らせる見込みになりました。65歳からの老齢年金受給開始まで、定年退職金や貯蓄などで生活して年収を抑えたほうが、国民健康保険料の負担を軽減できそうです。
まとめ
任意継続と国民健康保険の保険料は退職時(前年)の所得によって決まり、退職時(前年)の給与が月収30万円以上だった場合には任意継続を選ぶほうが保険料負担を抑えられる試算結果になりました(国民健康保険料は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう)。
退職前の給与額と退職金、分の貯蓄額などを確認してから、定年退職後の健康保険加入先を検討しておくことが老後の生活設計において望ましいです。
出典
協会けんぽ
会社を退職するとき
健康保険法等の一部改正に伴う各種制度(傷病手当金、任意継続、出産育児一時金)の見直しについて(令和4年1月から)
令和6年3月分からの健康保険・厚生年金の保険料額表(東京都)
全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続被保険者の方の保険料額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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