更新日: 2024.05.24 セカンドライフ

50代夫婦、家賃「月9万円」の賃貸暮らしです。老後のために、今からでも「持ち家」を購入すべきですか? 年金の見込みは「月19万円」で貯蓄は「700万円」ほどです。高齢者は賃貸契約を断られると聞きました…

50代夫婦、家賃「月9万円」の賃貸暮らしです。老後のために、今からでも「持ち家」を購入すべきですか? 年金の見込みは「月19万円」で貯蓄は「700万円」ほどです。高齢者は賃貸契約を断られると聞きました…
定年が近づき老後のことを考えるようになると、このまま賃貸で暮らせるのかと不安になる人は多いと思います。
 
内閣府の「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査」によると、60歳以上の人で、将来の住まいに関して不安を感じたことがあると回答した人は、持ち家に住む人が24.9%だったのに対し、賃貸に住む人は36.5%とあり、賃貸暮らしの人のほうが多く不安を感じているとのことです。
 
本記事では、高齢者の賃貸入居拒否の実情と、50歳を過ぎてから持ち家を購入する場合のローン返済や老後の家計について解説します。
根本由佳

執筆者:根本由佳(ねもと ゆか)

FP2級、中小企業診断士

高齢者の4分の1が「入居拒否経験あり」

前述の内閣府の調査で、将来の住まいへの不安を挙げた人で賃貸に住む人のうち19.5%が「高齢期の賃貸を断られる」ことを不安に感じています。
 
また高齢者のための賃貸情報サイトを運営する株式会社R65が行った調査によると、65歳以上の人で「賃貸住宅の入居を断られた」経験がある人は23.4%で、約4人に1人という結果でした。
 
賃貸物件では多くの場合、2年に一度の契約更新があります。そのため、更新の時期が近づくと「次も契約できるだろうか?」と不安に感じることになるかもしれません。
 

一戸建てを買うとしたら住宅ローンはいくら組める? 頭金は?

もし50代から一戸建てを買おうとしたら、住宅購入に必要なお金はどうなるのでしょうか?
 
現在の貯蓄700万円をすべて頭金とし、残りを住宅ローンなど借入金でまかなうとします。一般的に住宅ローンでは、申込時は「満65歳~70歳未満」、最終返済時は「満65歳~70歳未満」「80歳未満」というように、上限が設けられています。まだ50代であれば、多くの金融機関で申し込むことが可能だと考えられます。
 
住宅ローンに対する頭金の目安は購入物件の20%で、購入に必要な諸費用およそ5%を足した25%程度を準備しておくと安心です。
 
頭金目安額の700万円から逆算し、ここでは3500万円の物件を購入すると仮定します。仮に購入額3500万円に対し頭金700万円で、2800万円のローンを組み、条件を「30年・固定金利1.5%・元利均等方式(毎月の返済額が一定になる方法)」とすると、毎月の返済額は9万6633円となります。現在の家賃9万円と月々の支払いはほぼ同額で、持ち家を手にすることができます。
 

退職金には頼れない。住宅ローンは大きな負担に

しかし、老後に月9万円超の返済をし続けられるかが問題です。貯蓄700万円を頭金に使ってしまうと、その後の貯蓄がゼロか少ない状態のまま定年を迎える可能性が高いです。定年時に退職金が支給される場合でも、平均的な金額は大企業であれば2500万円程度、中小企業の場合は1000万円程度です。
 
また総務省の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、65歳以上の高齢者夫婦無職世帯の場合、生活費の支出は25万959円(うち住居費は1万6827円)、非消費支出は3万1538円、合計で約28万円かかるそうです。
 
夫婦2人の年金収入の見込みを19万円とすると毎月約9万円の赤字が発生し、その補填に退職金のほとんどを使う可能性が高くなります。そうなると、住宅ローン約9万円の支払いが相当の負担になることが予想されます。
 

まとめ

老後に住まいがなくなる不安を持ち続けるのはつらいでしょう。しかし、持ち家を購入したために多額の借金を返済することも大きな負担になります。
 
本当に持ち家という選択がよいのか、賃貸と比べてどちらの負担が少ないかを検討したうえで、持ち家を取得するならローンの返済可能額など老後の家計設計を明確にしてから決断するようにしましょう。
 

出典

内閣府 高齢者の住宅と生活環境に関する調査(平成30年度)
株式会社R65 65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題に関する調査
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)
 
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士

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