更新日: 2019.01.07 セカンドライフ
友達が「老後の資金準備は早いほど良い」といっているのですが本当?
もちろん準備ですから早いに越したことはありません。
しかし人生の中途、いわゆる働き盛りから始める必要はないように思われます。
まだまだ自身の研さんが必要であり、お子さんや住宅ローンにも費用がかかるときにリタイア後のことを考えていては、「今」が滞ってしまいます。
結局、一段落がついて老後を考え始めたときが、始めどきです。
Text:古屋禎之(ふるや よしゆき)
古屋FP事務所 代表
CFP(R)資格
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
私は皆様の将来の夢を実現するため住宅・教育・老後等のご相談から不安を解消するファイナンシャル・プランニング業務を行い、素敵なライフプランをご提案しています。
相談業務から提案業務に不安解消から夢のある人生に、をモットーに活動中です。
2015年に日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員に就任し、
現在は児童養護施設での子供たちへの金銭教育・生活困窮者家計相談支援業務・就学者支援業務にも力を注いでいます。
老後を考え始めるとき
老後を考え始めるのはいつごろでしょうか。
一番分かりやすいのが定年退職のときです。
これは個人の実情に完璧に合致しているわけではありませんが、一つの大きな目安です。
最初はこの定年退職、いわゆる60歳を考えてみましょう。この年に退職金を得る方が多いでしょう。
しかし、このまとまったお金が入るときは、すでに準備ではなく実践段階なのです。
となると、準備はもう少し前からになります。退職金が入るであろう日の前に、その使い道を決めることが準備になります。
退職金が自身の老後に十分な額であると判断できれば、そこで準備は終了です。
ただ、もし老後の資金には足りないことが判明したら、そこから準備を始めなくてはいけません。
なので、ご自身の退職金の予定額は早めに知りましょう。
老後を考え始める他の目安としては、住宅ローンの終わりが見えてきたときが挙げられます。
繰り上げ返済による期間の短縮で完済のめどがついたときや、支払いが続くにしてもそれほど大変さを感じることがなくなった時点などです。
また、お子さんの教育費の終了段階も目安となります。
教育費は、お子さんが生まれたときから大学卒業まで支払いが続きますが、それが終わると教育費にかかっていたお金を老後資金に回せます。
「お子さんのため」から「自分のため」にです。
老後資金準備には資産運用を考える
退職金も、住宅ローンや教育費終了後の自身へ回すお金も、使っていけばいつかはなくなってしまいます。
収入が途絶えれば、お金は増えることはなく減っていくばかりです。
これからは、できるだけ長く働いて収入を得ることが時流になっています。
もちろん働き続けられ、仕事先があれば、とてもいいことです。
しかし、だからといって80歳・90歳までも働ける方はそう多くはありません。
いつかは勤労収入が途絶える方が多いでしょう。
体が衰えてきたり、また病気がちになってきたりと、徐々に完全引退の道が見えてきます。
本来はそのときのために老齢年金があるのです。
しかし、老齢年金額は生活に十分な額ではないと思われる方が、多くいらっしゃいます。
その十分ではないであろう老後資金を、十分になるまで近づける手段の一つとして、資産運用があります。
ただし、資産運用には経験が必要です。
資産運用の世界に入りたての方に、大きな運用は危険です。会社に入りたての新人と同じです。
ただ、会社に入りたての新人との違いは、経験についてはもちろん「新人」ですが、運用権限は「社長」であるということです。
それは、全財産を自分の裁量で自由に動かせるということです。
しかしその点を十分注意してください。自制が必要です。
退職金が入っても、教育費の支払いが終わっても、運用資金は少額から始めます。
まずは減っても生活に支障が出ない程度の金額からです。
一つの運用経験ができたら、次はより大きな運用へ、またそれが経験・理解できたらさらに大きな運用へ、と会社の役職が上がるように時間が必要です。
決して一足飛びに資産運用のエキスパートにはなれないと考えましょう。
自分の老後のライフプランを作り、いつごろどれぐらいのお金が必要か。それにはどのような利回りでの運用が必要か。
運用期間や商品特性など、いろいろな条件から洗い出し、シミュレーションして少額から始めてください。
始めたら継続的に勉強していくこと。これが老後の資金準備です。
Text:古屋 禎之(ふるや よしゆき)
古屋FP事務所 代表
CFP(R)資格
1級ファイナンシャル・プランニング技能士