60歳、夫婦共働きで「3000万円」貯めました。「2人分の年金」もあれば老後は安泰でしょうか? 持ち家でないので、家賃が「月8万円」かかります
配信日: 2024.06.18
本記事では、老後資金3000万円を貯めた夫婦が、資金が枯渇せずに老後生活を送れるかをシミュレーションしていきます。老後資金が枯渇しないための対策についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。
60代の平均貯蓄額
自身の貯蓄額と比較し、まわりの60代はどの程度貯蓄しているのか、気になる人もいるでしょう。まずは60代の平均貯蓄額をみていきます。
金融広報中央委員会が公表した「2023年家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、2人以上世帯の60代の平均貯蓄額は2026万円、中央値は700万円です。平均が2026万円と聞いて驚く人もいるかもしれませんが、一部の高額貯蓄者が平均を押し上げているため、実際の肌感覚では中央値である700万円が現実的な数字といえるでしょう。
3000万円の貯蓄と月21万円の年金で、家賃が8万円かかる場合の老後資金はいつまで継続できる?
ここからは、老後資金3000万円が枯渇せずに老後生活を送れるかを次の条件で試算していきます。
●家族構成:夫婦2人
●受給開始年齢:夫婦とも65歳から
●年金受給額:21万円(手取り額)
●住居費以外の生活費:23万5000円
●家賃:8万円
このケースですと、家賃が月8万円、その他の生活費が月23万5000円になるため、月々の合計支出額は31万5000円です。
夫婦の年金受給額21万円を差し引くと、毎月10万5000円が不足することになります。これを年間に換算すると126万円の不足となり、この状態が続くと約24年間で貯蓄が枯渇する計算です。
つまり、89歳で老後資金が枯渇する計算となるため、平均余命を踏まえると、夫婦ともに老後生活は維持できそうです。
老後資金が枯渇しないための対策
先述のケースですと、老後資金3000万円は枯渇せずに老後生活を送れることがわかりました。ただし、このシミュレーションには病気やけがといった突発的に発生する費用が考慮されていません。そのため、もう少し余裕をもった資金計画を立てる必要があるかもしれません。
まず、最初に取り組むべきことは「家計改善」です。前述のシミュレーションでは毎月の生活費が家賃を含めて31万5000円でした。現役時代と比較して老後の収入は大幅に下がる傾向にあるため、老後生活に入る前に、年金収入を見越したライフスタイルの見直しに取り掛かりたいところです。
家計改善は固定費の見直しから
家計改善を実施する際は、固定費の削減から進めていくことをおすすめします。主に次のような固定費から手を付けるとよいでしょう。
●保険料
●サブスク費
●住居費
●車関連費
これらの費用は一度削減できれば、今後は何もせずとも節約が継続されていきます。ぜひ取り組める項目から見直してください。
もし、毎月の生活費を3万円削減できた場合は10年間で360万円、20年間では720万円の老後資金に余裕が生まれます。これによって予期せぬ支出が生じた際にも対応しやすくなりますし、精神的な安心感も得られるでしょう。
家計改善についてはFPに相談を
貯蓄額3000万円、年金額は夫婦で21万円、家賃8万円を想定した際に、89歳までは老後資金が枯渇せずに維持できそうです。ただし、突発的な費用を考慮した場合はもう少し余裕のある資金計画を立てておく必要があるでしょう。
まずは家計改善を実施し、毎月の生活費を削減することです。もしどのように生活費を削減すればよいかわからない人は、お金の専門家であるFPなどに相談してみることをおすすめします。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種