更新日: 2024.06.27 定年・退職

父の定年退職をきっかけにパートを始めた母。毎月「12万円」の年金では生活が厳しいのでしょうか?

父の定年退職をきっかけにパートを始めた母。毎月「12万円」の年金では生活が厳しいのでしょうか?
公的年金は老後の生活を支える大切な収入です。年金額はそれまでに納めてきた保険料によって異なり、会社員や自営業などの働き方によっても大きく異なります。
 
定年年齢の引き上げなどの影響もあり、近年は定年後も働き続ける方が増えています。しかし、体力や健康面でも心配が出てくる老後においては、現役時代と同じように働き続けることは難しいでしょう。
 
そこで今回は、老後における毎月の平均収入額や平均支出額から、毎月の年金12万円では生活が厳しいのかについて考えてみました。年金とパート収入でも生活が厳しい場合の対処法についても解説しますので、参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年後の夫婦二人の平均収入額と平均支出額は?

総務省統計局の「2023年 家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における公的年金を含めたひと月当たりの実収入は24万4580円です。支出については次の通りです。

食料:7万2930円
住居:1万6827円
光熱・水道:2万2422円
家具・家事用品:1万477円
被服および履物:5159円
保健医療:1万6879円
交通・通信:3万729円
教養娯楽:2万4690円
そのほかの消費支出:5万839円
非消費支出:3万1538円

支出の合計は28万2497円となり、毎月の年金が12万円の場合、1ヶ月で約16万2497円不足することが分かります。1年間だと約195万円、10年間だと約1950万円、65歳から95歳までの30年間だと約5850万円が不足する計算です。
 
老後資金があるかどうかや、家庭ごとの状況により毎月の収支は異なりますが、毎月の年金12万円のみでは生活が厳しいといえるでしょう。
 

定年後に働いても生活が厳しい……対策としてできること

毎月の不足分である16万2497円をパートで稼ぐには、東京都の最低賃金時間額1113円の場合、1ヶ月で145時間以上働く必要があります。1ヶ月で145時間以上働くには、1日に7時間以上、週に5日働かなければなりません。健康面での心配が出てくる老後において、毎日7時間以上の労働は厳しいでしょう。
 
老後の資金不足の対策として、次のようなことを検討できるかもしれません。
 

【支出を見直す】

現在の家計を見直して、支出を減らせないか検討してみましょう。例えばスマホプランの見直しや、家賃の安いアパートへの引っ越しなどを行うと固定費の節約が期待できます。また、毎月の維持費が高い車を手放すことも家計の負担を抑えるのに効果があるでしょう。
 

【家族のサポートを得る】

子どもと同居したり、仕送りを受けたりするのも選択肢のひとつです。子どもが親を扶養に入れると、一定金額の所得控除を受けられる場合があります。
 

【国の制度を利用する】

生活に困っている人をサポートする国の制度がいくつかあります。毎月の年金を含めた収入が国の定める最低生活費に満たない場合は、生活保護制度を利用できるかもしれません。
 
また、厚生労働省によると、65歳以上の老齢基礎年金を受給している方で、前年の公的年金等の収入金額+そのほかの所得が87万8900円以下などの要件を満たす場合は、年金生活者支援給付金制度が活用できる場合があります。詳細を確認したい場合は、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
 

年金12万円ではひと月で約16万2497円不足する可能性がある

65歳以上の夫婦のみの無職世帯における公的年金を含めたひと月の実収入の平均は24万4580円、支出の平均は28万2497円です。毎月の年金が12万円の場合は平均収入よりも低く、平均支出に及ばないため生活が苦しいといえます。
 
現役時代に老後資金を備えていれば問題ありませんが、毎月の不足分を老後の労働収入で補うのは体力的にも厳しいでしょう。毎月の収支を見直す、子どもからのサポートを得る、国の制度を利用するなどの対策を早めに検討しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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