更新日: 2024.07.27 定年・退職
定年まで5年ありますが「早期退職」に応募しようか迷っています。失業給付を受け取ったら、受給できる「年金額」は減る?
早期退職後に失業給付を受け取るときも注意が必要です。今回は、早期退職をするとどれだけ年金額が変動するのか、また早期退職後に失業給付を受給する場合の注意点などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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早期退職してから失業給付を受けると年金はどうなる?
日本年金機構によると、雇用保険の失業給付と年金の併給はできません。ただし、基本的に老齢年金は65歳になってから受け取る年金です。通常の失業給付は65歳までが対象のため、年金を繰り上げたり特別支給の老齢厚生年金の支給対象だったりしなければ、失業給付を受け取ったあとに年金を受け取る形となるため年金には影響しません。
もし、繰上げ受給で65歳より前に年金を受け取り始め、早期退職をして失業給付を受給すると繰上げ受給した年金は支給停止されます。失業給付の受給が終わると年金の支給が再開されますが、実際に受け取れるのは失業給付が終了してから3ヶ月ほどあとです。
早期退職は年金額に影響する?
早期退職をすると、定年退職をしたときよりも老齢厚生年金額が減少する可能性があります。老齢厚生年金は厚生年金保険への加入月数やその間に受け取った収入額によって受け取れる金額が決まるためです。
老齢厚生年金額の決まり方
老齢厚生年金の金額は、経過的加算や加給年金などの加算がなければ、報酬比例部分を計算することで求められます。日本年金機構によれば、報酬比例部分の求め方は厚生年金へ加入したタイミングによって異なり、以下の通りです。
●平成15年3月以前に加入していた期間:平成15年3月までの加入月数×0.007125×平均標準報酬月額
●平成15年4月以降に加入していた期間:平成15年4月以降の加入月数×0.005481×平均標準報酬額
平均標準報酬月額は、月収を基に決められる標準報酬月額の平成15年3月以前に加入していた期間の平均値です。また、平均標準報酬額は、各月の標準報酬月額と年間の賞与額を基に決められる標準賞与額の総合計を平成15年4月以降に加入していた期間で割って求めます。
早期退職したときと定年退職したときの老齢厚生年金額の差
今回は、以下の条件で受給できる老齢厚生年金額の差を計算しましょう。
●65歳を定年とし、早期退職は60歳
●厚生年金に加入したタイミングは平成15年4月以降で、22歳のとき
●年収は600万円
●賞与は考慮しない
賞与を考慮しないため、月収と平均標準報酬額はともに50万円です。まず、65歳の定年まで勤務したとすると、厚生年金への加入期間は43年間なので、報酬比例部分は「516ヶ月(43年)×0.005481×50万円」で求められます。計算すると、受け取れる老齢厚生年金額は141万4098円、月額で約11万7842円です。
一方、60歳で早期退職をすると、厚生年金の加入期間は38年となるため、報酬比例部分は「456ヶ月(38年)×0.005481×50万円」で計算します。早期退職をしたときの老齢厚生年金額は124万9668円、月額10万4139円です。
同じ年収でも、早期退職をすると月額約1万3703円、年間約16万4436円の差が発生します。
年金と失業給付は併給できないため実質的な年金額は減少する
老後に受け取れる年金のうち、老齢厚生年金は厚生年金に加入していた期間やその間に受け取った収入額に応じて支給金額が決定される年金です。早期退職をすると、定年まで働いた場合と比べて厚生年金の加入期間が短くなるため、受け取れる金額が少なくなる可能性があります。
さらに、年金の繰上げ受給を選択している状態で早期退職をした場合、失業給付を受け取り始めたときに年金は支給停止されるため、注意しましょう。
出典
日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー