更新日: 2024.07.28 セカンドライフ

母の国民年金受給額が月5万円です。さすがに少ないので援助したほうが良いと思っていますが、どうするのが良いでしょうか?

母の国民年金受給額が月5万円です。さすがに少ないので援助したほうが良いと思っていますが、どうするのが良いでしょうか?
親がリタイアしたり、一人になったことで年金収入が減ったりすると、子どもからの援助がなければ生活が苦しくなることがあります。援助するのはやぶさかではないけれど「税金面のルールが分からない」「仕送り以外のよい手段があるかもしれない」と悩んでいる人もいるでしょう。
 
そこで本記事では、子どもから親への仕送りの実態をチェックするとともに、仕送りと贈与税の関係や、仕送り以外の援助方法を分かりやすくまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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親への仕送り額は一世帯当たり平均5万6000円

まずは、子ども世帯から親への仕送りの実態を見てみましょう。
 
厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」の結果によると、親への仕送りをしている世帯は全体の約2%、一世帯当たりの仕送り額は平均5万6000円です。仕送り額は2~4万円が最も多く、4~6万円が続く結果となっています。
 
仕送りの種類別に見ると、施設や医療機関の入所・入院費のみを仕送りしている世帯は、親への仕送りをしている世帯全体の約26%、その他の費用のみの世帯が約73%、両方を仕送りしている世帯は約1%という内訳です。
 
仕送りの種類別の平均額を、図表1にまとめました。
 
【図表1】

仕送りの種類 仕送り平均額
入所・入院費のみ 8万4000円
その他のみ 4万6000円
入所・入院費とその他 7万3000円
全体 5万6000円

厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」より筆者作成
 
仕送りの目的によって、平均額に大きな差があります。親へ金銭的な援助をする場合は、親世帯の現在の家計や貯蓄の状況も踏まえて、何にいくらくらいの援助が必要なのかを話し合うとよいでしょう。

 

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親への生活費の仕送りには原則として贈与税がかからない

親への支援としてまとまったお金を渡すとなると、「贈与税がかかるのではないか」と心配になる人もいるでしょう。
 
大前提として、親への生活費の仕送りに対しては、贈与税が課税されません。「扶養義務者から生活費や教育費のために受け取った財産のうち、通常必要な範囲のものには贈与税がかからない」ことが定められており、親子は互いに扶養義務者に当たるためです。
 
ただし、贈与税がかからないのは一般的に「通常必要な範囲のもの」と認められる金品だけである点に注意しましょう。一人暮らしの親の生活費としては金額が大きすぎるとみなされる場合は、贈与税が課税されます。
 
また、仕送りを生活費に充てず、貯蓄や投資に回した場合も贈与税の対象です。親に仕送りをする場合は「日常生活費」「医療費」「介護費用」など使途を明確にし、それぞれに必要な金額の範囲で仕送り額を決めると安心です。

 

親の家計を援助する仕送り以外の方法は?

親の家計を援助する方法は、仕送りだけではありません。親と一緒に家計の状況を見直してみるだけでも、収支のバランスが改善して、家計に余裕ができる場合もあります。
 
例えば、死亡保障が大きすぎる生命保険は、子どもが独立した世代であれば必要ない場合もあります。また、よく内容を理解できないまま加入し続けている月額サービスはないか、通販などで浪費をしていないかなども、家族が一緒に見直したいポイントです。
 
また状況によっては、親を自分の健康保険の扶養や税金計算上の扶養に入れることが有効な場合もあります。
 
親の年収が180万円未満かつ仕送りなどで生計維持関係にあれば、別居であっても健康保険の扶養に入れられます(親が75歳になるまで)。また、税金計算で扶養控除が適用できるのは、年間所得が48万円以下の場合です。
 
親を扶養に入れる主なメリットは、親の国民健康保険料の負担がなくなる点、扶養者の税負担が減る点です。一方で、被保険者が子どもになることで高額療養費制度の自己負担限度額が上がり医療費の負担が増える、親の介護保険料の負担が増えるなどのデメリットが生じる場合もあるため注意しましょう。

 

親への仕送りは贈与税のルールに注意! 仕送り以外の方法も検討しよう

親への援助として仕送りをする場合、生活に必要な金額の範囲であれば贈与税はかかりません。しかし、金額が高額すぎる場合や生活費ではない貯蓄用や投資用などの費用を渡した場合は、贈与税の対象になるため注意が必要です。
 
親の家計を援助する方法は、仕送りだけではありません。家計の見直しや管理をサポートする、親を扶養に入れるなどの方法が有効なケースもあるため、親の生活をどのように支えるか、本人も交えて十分に話し合うことをおすすめします。

 

出典

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
全国健康保険協会 協会けんぽ 被扶養者とは?
国税庁 No.1180 扶養控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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