更新日: 2024.08.01 定年・退職

【パートタイマーの退職金】パートで10年間頑張って働いてきましたが月末で退職することにしました。パートでも退職金はもらえるのでしょうか?

【パートタイマーの退職金】パートで10年間頑張って働いてきましたが月末で退職することにしました。パートでも退職金はもらえるのでしょうか?
パートタイマーであっても、長年一生懸命に働いてきた職場を退職するときには、金銭的な慰労のひとつもあっていいのではないか、と考える人は多いのではないでしょうか。実は勤務先の制度次第では、パートタイマーも退職金をもらえる可能性があります。
 
そこで本記事では、パートの退職金の有無は何で決まるのかや金額の算定方法、正社員との格差に関する考え方をまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

退職金がもらえるかどうかは社内の制度次第

パートタイマーが辞めるときに退職金をもらえるかどうかは、次の2点で決まります。
 

・勤めている会社で退職金制度の有無
・退職金制度がある場合はパートタイマーに退職金を支払うことが規定されているか

 
退職金は、時間外手当などと異なり、法的に支払いが強制されているものではなく、会社が定める福利厚生のひとつです。そのため、会社に退職金の制度がある場合に限って、会社は規定に従って計算した退職金を支払う義務を負います。
 
これは、退職するのが正社員でも同様です。会社に退職金制度がなければ、何十年勤続しても退職金はもらえません。
 
退職金制度の有無や内容は、会社の就業規則などで確認できます。今回のケースでは、勤務先に退職金制度があり、「パートタイマーは対象外」「20年以上勤続の場合に限る」などの規定がなければ、退職金を受け取れる可能性が高いでしょう。規定がなく、会社が退職金を支払わない場合は、労働基準法に抵触している可能性があります。

 

【PR】日本財託グループセミナー

【PR】日本財託セミナー

パートはいくらくらいの退職金をもらえる?

パートで10年勤めて辞める場合、どのくらいの退職金を受け取れるのでしょうか。退職金は一般的に、次のような方法で計算されます。
 

・別テーブル方式:給与とは別体系で退職金を算定する方式
・定額方式:在籍年数に応じて定額の退職金額をあらかじめ定めておく方法
・ポイント制方式:年齢や資格、人事考課などをポイントに換算して、累積ポイントに1ポイント当たりの単価を乗じて支給額を決める方法

 
いずれも給与とは切り離して退職金額を決める方式のため、パートタイマーだからといって退職金額が少ないとは限らないのがポイントですが、「パートタイマー+10年勤続」という情報だけで金額を推し量るのは困難です。
 
なお、勤務先が中小企業の場合は、中小企業退職金共済の制度に加入して、掛金制で退職金の原資を積み立てている可能性があります。
 
例えば、中小企業退職金共済の制度に加入して、短時間労働者の特例掛金月額である2000円を10年間積み立てた場合、約25万3000円を退職金として受け取れる計算です(中小企業退職金共済事業本部「退職金のシミュレーション」による試算)。

 

正社員と同等の業務や責任を負っていた場合は退職金の格差が違法になる可能性がある

パートタイムの身分であっても、正社員と同等の業務や責任を負って働いていた場合、正社員との間に退職金の支給の有無や金額に格差があると、違法である可能性があります。なぜなら、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の「同一労働同一賃金」の原則に反すると考えられるためです。
 
正確には、「同一労働同一賃金ガイドライン」に退職金に関する明確な規定はありません。しかし、賞与や各種手当に関しては雇用形態のみによって差異を設けるのは不合理な待遇に当たるとしていることから、退職金についても同様に考えてよいでしょう。
 
ただし、一見同等の業務に見えても、正社員のほうが多くの裁量を与えられていて責任が重い、異動の有無などの勤務条件が違うといったケースが多いのが実情です。このような差異がある場合は、退職金の有無に格差があっても不合理な格差とまではいえないというのが近年の裁判所の判断です(大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件)。

 

パートの退職金の有無は勤務先のルールによって異なる

退職金の支給は、法律で義務付けられたものではありません。そのため、長年勤めたパートを辞めるときに退職金がもらえるかどうかは、勤務先にパートタイマーを対象とする退職金制度があるかどうかで異なります。
 
制度の有無やパートも対象かどうか、金額はどのように算定するのか、なぜ正社員との待遇差があるのかなど、不明な点がある場合は、勤務先に確認してみるとよいでしょう。

 

出典

厚生労働省 鹿児島労働局 よくある質問 Q6 パートタイマーとして20年勤務し、先日退職しましたが、退職金の請求はできるでしょうか。
独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21 退職金の一般的な計算方法を教えてください。
独立行政法人勤労者退職金共済機構中小企業退職金共済事業本部 Q&A(よくあるご質問) 2. 加入について
厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集