50代会社員、体力的に「定年後に働く」ことに前向きになれませんが、周りは「再雇用」を選ぶ人が多いです。65歳まで働いたら増える年金はいくらですか?

配信日: 2024.08.29

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50代会社員、体力的に「定年後に働く」ことに前向きになれませんが、周りは「再雇用」を選ぶ人が多いです。65歳まで働いたら増える年金はいくらですか?
高年齢者雇用安定法により、希望者が65歳まで働けるようになり、60歳以降も働いている人は増えています。その場合、将来もらえる老齢厚生年金はいくら増えるのでしょうか。60歳で退職した場合と、65歳まで会社に勤務した場合の、将来もらえる年金を計算してみましょう。
水上克朗

執筆者:水上克朗(みずかみ かつろう)

ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー

60歳で退職した場合、将来いくら年金をもらえる?

会社員として働いていた人は厚生年金に加入して保険料を払っているため、国民年金にも加入していたことになり、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらえます。
 
ここでは、1964年(昭和39年)8月生まれの現在60歳の男性が、60歳で退職した場合、 いくらの年金がもらえるか、ざっくりと計算してみます。
 
この男性は、22歳から60歳までの38年間(456ヶ月)厚生年金に加入し、平均標準報酬月額(加入していた期間の平均給与と賞与)が40万円だったとします。また、20歳から22歳になるまでは、国民年金(24ヶ月)に加入していたとします。
 
この男性の場合、65歳以降に支給される「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」は次のとおりとなります。
 

(1)65歳以降にもらえる老齢厚生年金

40万円×5.481/1000×456ヶ月=年99万9734円
※厚生年金の全加入期間に関しては、平成15年4月以降の乗率、5.481/1000を使用しています。
※加給年金は計算に入れていません。
 

(2)65歳以降にもらえる老齢基礎年金

81万6000円(令和6年度・老齢基礎年金の満額)×(456ヶ月+24ヶ月)/480ヶ月=年81万6000円
 
合計して、((1)99万9734円+(2)81万6000円=)年181万5734円となります。60歳で退職した場合、65歳以降は、年181万5734円(月15万1311円)の年金をもらえることになります。
 

60歳から65歳まで月25万円で働くと、年金はどのくらい増える?

さらに、60歳から65歳まで月25万円で働き、厚生年金に加入する場合、年金がどのくらい増えるか計算してみましょう。老齢基礎年金については、この男性はすでに40年(480ヶ月)間の保険料を支払っているため、60歳以降に厚生年金に加入してから増えるのは、65歳から支給される老齢厚生年金部分となります。
 

(3)5年間(60ヶ月)働いたことによる、老齢厚生年金の増額分

25万円×5.481/1000×60ヶ月=年8万2215円

合計して、((1)99万9734円+(2)81万6000円+(3)8万2215円=)年189万7949円(月15万8162円)をもらえることになります。
 

60歳から働いて、支払う厚生年金保険料はいくら?

協会けんぽの、「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」によると、標準報酬月額25万円での厚生年金保険料の負担額は、月2万3790円(年28万5480円)です。65歳までの5年間で、142万7400円の厚生年金保険料を支払うことになります。
 
この男性の場合は、65歳から少なくとも約17年(支払保険料142万7400円÷増額分年8万2215円≒17.36)生きれば、82歳になったとき、受け取る厚生年金で保険料分を回収できることになります。
 

まとめ

60歳で退職した場合と、65歳まで会社に勤務した場合とで、将来もらえる年金を計算してみました。仮に、60歳から65歳まで月25万円で働くと、年8万2215円増える計算となります。
 
退職後は、年金は家計の主な柱となります。人生100年時代、少しでも年金を多くもらえることが、老後の安心につながっていくでしょう。
 

出典

日本年金機構 老齢年金ガイド 令和6年度版
全国健康保険協会 協会けんぽ 令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)
 
執筆者:水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー

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