更新日: 2019.01.11 介護

年末年始ぐらいしか、家族が揃わない。だからこそ話し合っておきたいこと

執筆者 : 藤丸史果

年末年始ぐらいしか、家族が揃わない。だからこそ話し合っておきたいこと
早いもので今年も師走を迎えました。年末年始は故郷へ帰省される方も多いと思いますが、もし親兄弟や親戚が集まる機会があれば、日頃は話しにくいお金のことなどについて話し合えると良いですね。
 
そこで今回は、具体的にどういったことを話し合っておくべきかについて考えてみたいと思います。
 
藤丸史果

Text:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

親の入院や介護の備え

帰省して久しぶりに親御さんに会うと、「ああ、親も年をとったな……」と感じて、寂しい気持ちになることがありますよね。
 
話し合いのいい機会だからといって、急にかしこまって「もしものことがあったら…」なんて深刻な内容を持ち出すのは、せっかく皆が集まった楽しい場を盛り下げてしまうかもしれません。
 
あまりシビアにならない程度に、まずは親の健康状態の変化や、身の回りのものについて分かるように整理しておくよう、やんわりとお願いすることから始めてみてはいかがでしょうか。
 
たとえば、親御さんがいつ入院しても対応できるように、できるだけ準備をしておくといいと思います。実家にある親の持ち物の収納場所が分からず苦労した、という話はよく聞きます。
 
入院したときに必要なものを、リストアップしてまとめておいてもらうとか、どこに何があるかのおおよその場所を聞いておくだけでも違います。入院生活で必要な身の回り品のほか、少なくても健康保険証や介護保険証、お薬手帳の場所は把握しておくようにしたいものです。
 
入院歴や既往歴についても、事前に聞いておくか、メモしておくことも大切です。
 
また、介護が急に必要になることもあるかもしれません。親御さんが元気なうちに、どこで介護するのか、だれが主にするのか、費用はどこから支出するのかなどを話し合っておきたいところです。
 
介護は、だれか1人だけに負担がかかり過ぎることのないようにしなくてはなりません。そういう意味でも、家族全員が集まるこの機会に話題にできるといいでしょう。
 

「もしものとき」への備え

要介護状態になってしまう場合や、残念ながら亡くなってしまう場合も、やはり考えておかなくてはならないことです。「資産などのリストアップ」をしておいてほしいということを、親御さんにお願いできるといいと思います。
 
あれこれと手続きをしなくてはならない親族にとっては、親の資産が何で、どのくらいあるのかが分かっているだけでも、かなりスムーズに進めることができます。
以下に、リストアップしてもらう資産と、その際の注意点についてまとめました。
 
・預金の有無、銀行名や残高
預金しているすべての銀行名と残高などを明記しておいてもらうことがベストです。しばらく取引がされていない「休眠口座」があるかもしれませんので、忘れずに確認しておきます。
 
・生命保険の加入の有無・内容
親世代だと、預金や保険はお付き合いで複数加入したり、口座を開設している可能性もあります。預金と同様に、いくつ加入しているかも含め、保険についても契約内容や受取人、保険金額、また保険証書はどこにあるのか分かるようにしてもらいましょう。
 
・実家の土地家屋などの不動産
実家の土地建物など、親が持つ不動産についても把握しておきたいですね。
 
登記簿謄本などの不動産について分かる資料が、どこにあるのかをまず確認しておきましょう。また、名義などについても明らかにしておくと、後で無用なトラブルを避けることにもつながります。
 
また、入院や介護などでお金がたくさんかかる場合などに、資金源として利用することも考えられます。おおよその価値を把握しておくことも、いざというときに役立ちます。
 
・借金やローン、特に連帯保証人に注意
借金やローンについては特に注意が必要です。親の財産はプラスのものだけに限りません。借金やローンが残っていないかどうか、親自身の債務はもちろん、だれかの連帯保証人になっている負債もあるかもしれません。
 
しっかり確認して、その額も把握しておくようにしましょう。中には家族に内緒で連帯保証人になっていることもありますが、連帯保証人は相続の対象になります。しかも相続開始から3ヶ月を過ぎると、その相続を放棄することができなくなってしまいます。
 
現在、返済をしていなくても必ず話してもらい、親自身の借金について家族以外のだれかに、連帯保証人になってもらっていないかも聞いておきましょう。
 
・有価証券は株券に注意
そのほか、株券、投資信託といった有価証券についても確認しておきましょう。株券については、2009年の電子化前の株券をそのまま持っていた、ということもあるかもしれません。
 
相続したときに、故人が名義を書き換えずに保有していた株券は、株主としての権利を失う可能性もありますので注意が必要といえます。
 
普段、なかなか話しにくい将来のことやお金のことですが、機会を見てしっかりと話し合うことができると良いですね。
 
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー