更新日: 2024.10.22 セカンドライフ
40代となり「老後の医療費」が心配になりました。老後2000万円問題と一時期話題になりましたが、老後に備えていくらくらい準備しておけばいいでしょうか?
本記事では、老後にかかる医療費の目安をはじめ、自己負担の割合について解説します。その他にも、老後の医療費を貯める方法をまとめているので、安心して老後生活を過ごすために内容を理解しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生涯医療費は2815万円
厚生労働省保険局調査課の「医療保険に関する基礎資料~令和3年度の医療費等の状況~」によると、1人当たりの生涯医療費は2815万円(男性は2727万円、女性は2907万円)です。なお、65歳以上の累積医療費は1604万円(男性1516万円、女性1696万円)とのことで、女性のほうが医療費は高くなっています。
年齢別の1人当たりの医療費
同調査によると、令和3年度で年齢別の1人当たりの医療費は以下のとおりで、年齢が上がるほど高額です。
●55~59歳:30万2621円
●60~64歳:37万7291円
●65~69歳:47万82円
●70~74歳:60万4626円
●75~79歳:76万8548円
●80~84歳:90万9202円
●85~89歳:103万9669円
●90~94歳:113万1989円
●95~99歳:118万4581円
●100歳以上:115万958円
条件次第で自己負担額が1~3割になる
老後は高額な医療費がかかることに不安を感じるかもしれませんが、自己負担額はそこまで高くありません。医療費は70歳まで3割負担、70歳から74歳までは2割負担、75歳以上になると1割負担になるからです。
ただし、現役並みの所得がある場合は3割負担となるため注意してください。例えば、70歳で2割負担の人の医療費が1万円だった場合、窓口で支払う金額は2000円です。
さらに後期高齢者医療制度の被保険者が負担する医療費の割合は、一般所得者などは1割、現役並みの所得者は3割ですが、2022年10月1日以降は以下のように一定以上の所得がある一般所得者は2割に変わっています。
●同一世帯のなかに課税所得が28万円以上の被保険者がいる
●同一世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額の合計額」が、単身世帯の場合は200万円以上、2人以上の世帯の場合は合計320万円以上である
老後の医療費を貯める方法
前述のとおり、65歳以上の累積医療費は1604万円ですが、実際にどのくらいのお金がかかるのかは個人差がある部分です。また、退職金や年金受給額、現役時代にどのくらいお金を貯められるかによって準備する金額が変わってくるでしょう。
老後の医療費に備えてお金を貯めておきたい人は、以下の方法を検討してみてください。
●iDeCoやNISAの非課税制度
●個人向け国債
●積立式定期預金
以下で、方法別に解説します。
iDeCoやNISAの非課税制度を活用
iDeCoやNISAといった非課税制度を活用し、老後に備えるのも方法の一つです。
【iDeCo】
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金の拠出、預金や保険、投資信託などを運用し、60歳以降に掛金とその運用益の合計額をもとに給付金を受け取ります。また、以下のような税制優遇を受けることが可能です。
●掛金のすべてが所得控除の対象につき所得税・住民税が軽減される
●運用益は非課税
●給付の受取時は「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象
【NISA】
NISA(少額投資非課税制度)は、投資した金融商品の利益が非課税になる制度です。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能で、年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)、非課税保有期間が無期限、非課税保有限度額(総枠)の上限は1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円が上限)となっています。
個人向け国債
個人向け国債は、国が発行する債権で、個人が購入・保有できます。国に一定期間投資し、定期的に利息が支払われたり、満期日に元本の価格は変動したりしません。1万円から購入できるので、投資に慣れていない初心者も安心して取り組みやすいです。
積立式定期預金
積立式定期預金は、毎月決めた一定額を自動振替で積み立てていきます。目標を決めて積み立てていけばよいので、無理なく継続的にお金を貯められるでしょう。
自分に合った方法で少しずつ老後費用を準備しよう
40代で働いているうちは、老後の医療費について現実味を帯びていないかもしれません。しかし、定年退職をして老後生活に入ったものの、十分な医療費を貯めていなかったとなると対処法はかぎられてしまいます。医療費に自己負担上限額が設定されていても、70歳以降は多くの医療費が必要です。早いうちから老後の医療費について考えて、適切な対策を検討し、取り入れておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 医療費の自己負担
厚生労働省保険局調査課 医療保険に関する基礎資料~令和3年度の医療費等の状況~
厚生労働省 後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー