更新日: 2024.11.25 その他老後

老後も「独身」の予定ですが、定年後の生活費が想像できません。一般的にはいくらかかるのでしょうか?

老後も「独身」の予定ですが、定年後の生活費が想像できません。一般的にはいくらかかるのでしょうか?
老後に対する不安の声が高まっている昨今、定年退職後の生活に不安を抱える方も多いのではないでしょうか。特に独身の場合、ひとりで生活を支えるための費用がどれくらいかかるのか、想像がつかないこともあるでしょう。
 
本記事では、一般的な独身者の定年後の生活費について解説し、老後の資金計画に役立つ情報をお届けします。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

定年後の生活費はいくら必要?

定年後に必要となる生活費は、独身であれば家計を1人分で考えればよいため、家族を持つ方よりは少なくなる傾向があります。しかし、収入源が年金のみになることを考慮すると、節約をある程度は意識した生活が基本になると想定されます。
 
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に、一般的な独身高齢者の月々の生活費を想定すると、14万円から15万円程度となるでしょう。この金額には、食費、光熱費、医療費、通信費、そして住居費などの「基本的な生活費」が含まれます。
 
また、令和6年度ベースの国民年金(老齢基礎年金)支給額は、満額でも月額換算6万8000円となります。将来は年金だけで生活しようと思っても、一般的な最低限度の生活すら、国民年金だけでは賄うことができないでしょう。
 
なお厚生年金であれば、日本年金機構の公式サイト記載「令和6年度の年金額の例(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)」を基に考えると、国民年金部分と合わせて月額換算で約16万円です。厚生年金に加入している場合であれば、定年後に年金だけで生活していくことは、可能といえそうです。
 

旅行や趣味に友人付き合いに……と、人生を楽しみたいのなら……

総務省統計局の行った調査とは別に、公益財団法人生命保険文化センターの調査も見てみましょう。
 
公益財団法人生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人の老後生活においては、最低限度の生活費が平均で月23万円程度に加えて、経済的にゆとりのある老後生活を送るために、平均で月15万円程度が必要になると考えられているようです。
 
なお、この調査における「ゆとりのある老後生活費」は、日常の最低限度の生活費とは別に、レジャーや旅行、友人との付き合い、耐久消費財の買い替えなどに使われる費用となります。
 
「生活費」というと、日常的にかかる消費支出の部分ばかり思い浮かぶかもしれません。しかし、老後も人生がまだ続くことを考えると、最低限度の支出だけで生活費を見込んでいては、実際に老後を迎えたときに「こんなはずでは」と悩んでしまう可能性もあります。
 
とはいえ、あまり趣味にお金をかけない方や、友人と何かするよりひとりで楽しむことを好む方であれば、上乗せ額は6万円や7万円ではなく、数千円から数万円程度で済むこともあるでしょう。
 

老後の生活費を大きく左右する要因

「ゆとりのある老後生活費」となる部分を除けば、統計上は14~15万円程度あれば、定年後の生活費を賄えるようですが、これはあくまでも統計的なデータです。
 
そのため「平均的な金額では14~15万円」とはいいつつも、「住居費がかからない持ち家であるか、それとも都市部で賃貸暮らしなのか」など個別の事情によっては、生活に毎月17万円必要・20万円必要……などと、費用が大きく変動することもあり得ます。
 
また、医療費の増加にも注意が必要です。一般的には、年齢を重ねるごとに医療費も増加すると考えられます。突発的なけがや病気を患う機会も増えるでしょう。「今までけがや病気になったことがほとんどないから大丈夫」と高をくくっていると、後悔する原因にもなりかねません。
 
「高額療養費制度によって医療費が抑えられる」という話もありますが、生活費が毎月ギリギリな中で医療費が月に数千円程度でも増えると、「ちりも積もれば山となる」というように、時がたつにつれ生活が苦しくなることもあります。
 

まとめ

独身者が定年を迎えた後の生活費は、統計を参考にする限り、14~15万円程度となりそうです。しかし、持ち家の有無や趣味への支出など、個別の事情によって大きく変動することとなるため、自身の状況に応じた試算をすることが必要です。
 
独身の場合、老後に不安を感じることは無理もありません。しかし、老後の生活は統計などのデータを参考にして、自身に置き換えていくことで、算出することが可能です。
 
独身で、基本的に自ら問題を解決しなければならないからこそ、落ち着いて老後について考えていきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識 (2)老後の最低日常生活費(109ページ)、(3)老後のゆとりのための上乗せ額(111ページ)、(4)老後のゆとりのための上乗せ額の使途(113ページ)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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