「子どもにお金で世話になりたくない」という60歳の父。貯金は300万円ですが、援助なしで老後の生活ができるのでしょうか?
配信日: 2024.12.15
そこで今回は、老後の生活に向けて貯金300万円で援助なしで生活できるかを、必要な生活費の平均額と年金を含む社会保障給付の平均受給額を基にシミュレーションを行います。
子どもからの援助なしで老後の生活を送るためにできることについても解説しますので、老後に不安がある方はぜひ最後までお読みください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
老後に必要な生活費の平均は?
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯におけるひと月の消費支出の平均は25万959円、65歳以上の単身無職世帯では14万5430円とされています。
特に老後は、医療費や介護費用が増加する可能性が高いです。また、65歳以上の夫婦のみ無職世帯におけるひと月の住居費の平均は1万6827円、65歳以上の単身無職世帯では1万2564円ですが、家賃の有無や持ち家で修繕費が必要な場合などはさらにお金がかかることが予想されます。
年金を含む社会保障給付の平均受給額は?
同じく総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、公的年金を含むひと月の社会保障給付の平均額は次の通りです。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯:21万8441円
65歳以上の単身無職世帯:11万8230円
この金額は平均値であり、実際の受給額は加入期間や収入などによっても異なるでしょう。例えば、厚生年金の加入期間が短い場合や、国民年金のみの場合は、この平均額より少ない可能性があります。
また、この金額には公的年金以外の社会保障給付も含まれているため、あくまで目安として参考にしてください。
貯金300万円で老後の生活は可能なのか?
単身世帯を想定し、月間生活費を15万円、収入が年金のみの月12万円とすると、毎月3万円、年間で36万円不足します。年間36万円の不足分を貯金300万円で補う場合、約8年間生活できる計算です。
年金受給開始後の65歳から8年程度は貯金300万円を取り崩して生活可能でしょう。しかし、このシミュレーションには突発的な出費は含まれておらず、それらを考慮すると貯金が尽きるスピードは早まる可能性があります。
さらに、厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.09歳です。
65歳から貯金300万円を取り崩しながら73歳まで過ごした後、73歳から81.09歳までの約8年間は毎月の年金だけでは生活費が足りなくなり、場合によっては子どもからの援助がなくては生活できない状況になる可能性があります。
子どもからの援助なしで生活するためにできること
子どもからの援助なしに老後の生活を送るためには、次のような点を意識してみるとよいでしょう。
・支出の見直し
・収入源の確保
・公的支援制度の活用
・65歳までに貯金を増やす
まずは、格安スマホへの切り替えや家賃の低い住居への引っ越しなど毎月の固定費の見直しをしてみましょう。車を持っている場合は、可能であれば車を手放すことも検討するとよいかもしれません。
さらに、定年退職後も年金以外の収入源の確保が大切です。勤務先の再雇用やシニア向けのアルバイトであれば老後も無理なく働けるでしょう。介護保険制度や医療費助成などの支援の利用、地方自治体の生活支援サービスを確認すると医療に関する費用を節約できるかもしれません。
貯金300万円と毎月の年金だけでは老後資金が不足するおそれがある
毎月の生活費を15万円、年金受給額を月12万円とした場合、貯金300万円は約8年でなくなることが分かりました。このことから貯金300万円では、状況によっては子どもからの援助がないと老後の生活が厳しいかもしれません。
今からでも生活費を見直し、老後の収入を補う手段を取り入れることで、貯金300万円でも子どもの援助を受けずにある程度現実的な生活を目指すことは可能でしょう。早めに具体的なプランを立て、支出と収入のバランスを調整することが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命(2ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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