来年3月に定年を迎え、「退職金1000万円」を受け取る予定です。家計管理をしている妻の口座へ入れようと思うのですが、税金はかかりますか?
配信日: 2024.12.24
今後の生活費として退職金を預けたいときは、課税されないように工夫しましょう。今回は、贈与税の課税対象となる条件や、課税されない方法などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
妻の口座への入金は贈与になる可能性がある
口座へ退職金を全額振り込む場合は、誰名義の口座か確認しましょう。たとえ生活費を支出するためでも、名義が妻だと妻の所有する財産として扱われるケースがあるためです。
もし妻名義の口座へ夫がお金を入れると、贈与として扱われ、全額ではなく、110万円(贈与税の基礎控除額)を超えた分が課税対象です。
1000万円の退職金が贈与税の課税対象になると税額はいくら?
今回は、以下の条件で退職金が夫から妻への贈与として扱われた場合の税額を計算しましょう。
・夫以外からの贈与はない
・同じ年に退職金以外の贈与がない
まず、1000万円から基礎控除額を引いた890万円が課税金額です。国税庁によれば、夫婦間の贈与は一般税率が適用され、課税金額が1000万円以下のとき、税率は40%、控除額は125万円のため、231万円を支払う必要があります。
課税対象にならないケースもある
贈与には、非課税になる項目がいくつか設けられています。例えば、生活費のために渡されたお金は、そのお金がすべて通常の日常生活のために用いられていれば税金はかかりません。生活費には治療費も含まれるので、例えば病院へ行くときに夫からお金を出してもらった場合なども非課税です。
ただし、渡されたお金を非課税項目で定められている目的以外に使用すると、その金額分は非課税とは認められません。必要に応じて税金を納める必要があります。
また、妻名義の共有口座から夫が生活費などを支出している場合も、課税されないでしょう。しかし、退職金は高額なため、場合によっては課税対象になるケースがあります。
退職金は一度夫本人の口座に入れておき、生活に必要な金額のみを妻の口座に入金したほうがよいでしょう。
また、退職金を使って中古の住宅を購入するときは「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」が適用される可能性があります。国税庁によると、婚姻期間が20年以上ある夫婦間で居住用不動産や居住用不動産の購入資金を渡すと、基礎控除額の110万円のほかに最大2000万円まで控除される制度です。
控除制度を使用して住居を購入する費用として退職金を妻に渡した場合は、税金が課されないでしょう。
家計管理を夫婦で行うコツ
定年退職をし、再雇用や再就職の予定がなければ、家計管理を妻に任せず夫婦で行うことも選択肢のひとつです。特に、老後は基本的に年金と貯蓄を元に生活するため、毎月の収入はあまり変わらないでしょう。
妻と一緒に生活費の項目を見ながら、夫が管理する項目、妻が管理する項目を決めます。一度紙に書き出すと、金銭管理に慣れていなくても必要な出費が分かるでしょう。
また、どうしても自分で金銭管理ができないときは、必要な生活費を毎月妻へ渡せば課税されません。妻が家計管理をする負担が増えるので、退職をしたなら家事や買い物を手伝うなどして、負担を分け合うようにしましょう。
退職金を一度に入金すると課税される可能性も
退職金1000万円をまとめて妻の口座へ入金すると、贈与と判断されて妻に対して課税されるかもしれません。今回のケースだと、もし課税されたら税額は231万円です。
生活のためにと口座に入金したうちの200万円以上が税金としてなくなると、今後の生活に影響が出る場合もあるでしょう。課税されないためには、必要な金額のみを毎月振り込んだり、退職後は金銭管理を夫婦で行ったりする方法があります。
退職後に働く予定がない方は、妻と一緒に家計管理をしてみることも選択肢のひとつです。分からない部分は教えてもらいながら、チャレンジしてみましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー