夫が退職金1000万円で「カマロ」を購入したいとのこと。老後長く乗るわけでもないし、貯蓄も800万円程度なら、退職金は「老後資金」に充てるべき?

配信日: 2024.12.27

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夫が退職金1000万円で「カマロ」を購入したいとのこと。老後長く乗るわけでもないし、貯蓄も800万円程度なら、退職金は「老後資金」に充てるべき?
老後を目前にしてまとまった金額が受け取れる退職金ですが、せっかくのお金なのですから、老後の資金としてだけでなく好きなことにも使いたいという人も多いでしょう。
 
本記事では、老後資金に必要な金額や「老後」に入る前の時期、高額な買い物をする際に考慮することなど、退職金の使い道について解説します。

老後資金800万円は足りない?

退職金の800万円で老後資金が足りるかは、自分たちに必要な額によって異なります。必要な老後資金の額は、老後の収入や支出などで大きく差が出るため人によってさまざまです。
 
試しに、老後(65歳以上)の平均的な収入と支出、また平均寿命のデータから老後に必要な資金額の目安を見てみましょう。
 
2023年の家計調査によると、65歳以上の夫婦2人無職世帯では、収入から税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得の平均は21万3042円、消費支出の平均は25万959円です。
 
厚生労働省の簡易生命表によると、令和5年の平均寿命は男性81歳、女性87歳とあります。ここでは90歳まで生きると仮定して試算してみます。
 
本事例の「退職する夫」が65歳で定年退職すると仮定すると、65歳から90歳までは25年間なので、老後にかかる消費支出の総額は「25万959円×12ヶ月×25年=7528万7700円」で、可処分所得の総額は「21万3042円×12ヶ月×25年=6391万2600円」です。
 
「支出総額(消費支出)-収入総額(可処分所得)」で必要な老後資金が求められるため、「7528万7700円-6391万2600円=1137万5100円」と、1100万円超の老後資金が必要であることが分かります。
 
老後の収入や支出には個人差がありますが、試算した金額と近い生活費で25年ほど生きた場合、老後資金は貯蓄の800万円では足りない可能性が高いでしょう。急な出費なども考慮するとさらに貯蓄しておく必要があります。
 
自分たちに必要な老後資金をきちんと把握して、なるべく余裕を持って老後資金を用意しておきましょう。
 

退職金でカマロは買える?

退職金でのカマロの購入は、自分たちに必要な老後資金と貯蓄との兼ね合いを見て判断すべきでしょう。カマロとはシボレー社が販売するアメリカ車で、メーカー希望小売価格(税込)はグレードによって異なり、低いものから668万円・778万円・880万円の3種類です。
 
退職金の1000万円でカマロを購入した場合、残金は120万円~332万円となるため、貯蓄の800万円と合わせると老後資金は1000万円ほどとなります。
 
現在の貯蓄額でも老後資金に余裕があれば退職金でカマロを購入しても問題ありませんが、老後資金に余裕がないのであれば退職金でのカマロの購入は避けるべきでしょう。
 
カマロはグレードによって100万円以上の差があるため、なるべく老後資金に余裕を持たせたいなら、低廉なグレードで購入したり中古車にしたりと資金を減らさない工夫も大切です。また購入以外にも、カーシェアやカーリースなど、購入以外で費用を抑える方法もあります。
 
高額な買い物で生活費がなくなってしまっては元も子もないため、退職金で高額な買い物をする場合は、老後資金との兼ね合いも考慮して検討しましょう。
 

まとめ

必要な老後資金の額は老後の収入や支出などで大きく異なるため、貯蓄800万円で老後資金が足りなくなるとは言いきれません。
 
65歳以上の夫婦2人で無職世帯の収入と支出で90歳まで生きたと仮定した場合、約668万円の老後資金が必要となるため、貯蓄が800万円あれば25年間の生活を賄える可能性が高いでしょう。
 
しかし、老後の収入や支出には個人差があり、急な出費なども考慮しておく必要があるため、退職金で高額な買い物をするならなるべく資金を減らさない工夫も必要です。
 
老後を安心して暮らすためにも、老後資金との兼ね合いを見ながら、大切な退職金をうまく活用しましょう。
 

出典

統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命
シボレー ジャパン(Chevrolet Japan) シボレーカマロ スポーツカー
 
執筆者:梅井沙也香
FP2級

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