40代の今でも病院通いなのに老後はもっと増えるのかと考えると不安です。老後の医療費はどのくらいかかるものなのでしょうか?
配信日: 2025.01.10
本記事では老後の医療費がどれくらいかかるのか、軽減方法について解説します。老後の医療費に興味のある人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後の医療費はどれくらいかかるのか
実際に高齢者がどれくらいの医療費を負担しているのかは、厚生労働省の統計によって明らかにされています。厚生労働省の「国民医療費の概況」に基づいて老後の月額医療負担費を紹介します。
平均余命から老後の医療費負担額の総額も解説するので、併せて参考にしてください。
老後の医療費負担額(月間)
厚生労働省の「国民医療費の概況」によると、令和4年度の年齢別医療費は以下のとおりです。
・65歳未満……20万9500円(1万7458円)
・65歳以上……77万5900円(6万4658円)
・70歳以上……84万4800円(7万400円)
・75歳以上……94万900円(7万408円)
65歳以上の月額平均医療費は4万円を超え、年齢が上がるほど増加します。ただし、これは医療費総額であり、実際の負担額ではありません。
・70歳未満……3割
・70歳~75歳未満……2割(※現役並み所得者は3割)
・75歳以上……1割(同上)
75歳以上の1割負担額(月額)は約7000円で、65歳以上全体の負担額(約1万9400円)より36%軽減されます。また、65歳未満の負担額(月額約5200円)と比較すると、75歳以上の負担は1.3倍程度です。
なお、65歳以上の負担割合は混在しているので3割負担として計算しています。
平均余命による老後の医療費総額
65歳時点と75歳での平均余命から医療費負担額の総額を計算します。なお、男女差が大きいため男女別に計算しています。
・65歳(男:平均余命19.52年)……77万5900円×19.52年×0.3=454万3670円
・65歳(女:平均余命24.38年)……77万5900円×24.38年×0.3=567万7493円
・75歳(男:平均余命12.13年)……94万900円×12.13年×0.1=114万1311円
・75歳(女:平均余命15.74年)……94万900円×15.74年×0.1=148万976円
65歳での医療費負担は3割負担として計算していますが、負担割合は年齢を重ねると軽減されるので実際には負担額はもっと少なくなります。
総額を計算すると高額な医療費負担に思えますが、75歳以上になれば月額7000円の負担です。したがって、高齢者の医療費負担は、65歳未満の5237円と比べてもそれほど大きくないと言えるでしょう。
老後の医療費を軽減する方法
75歳以上になると老後の医療費負担はそれほど大きくないと言えますが、65歳から74歳までは負担が大きいので、医療費を軽減する制度を活用して負担を軽減しましょう。医療費を軽減する制度には以下のものがあります。
・高額療養費制度……年齢と年収・所得額によって定められた1ヶ月の上限額を超えた医療費が戻ってくる制度
・民間の医療保険……保険料はかかるものの、健康保険適用の費用のみ対象となる高額療養費制度の上限額を超えても、経済的な負担を軽減できる
医療費負担を軽減するうえで大事なことは、大きな病気にかからないよう普段から心がけることです。定期的な健康診断の受診やかかりつけ医を持つことも役立ちます。
老後の医療費は今よりも増加するので、軽減する制度を活用しよう
75歳以上になると医療費の負担割合が大きく下がり、65歳未満の平均負担額に近くなります。しかし、特に65歳から69歳までは負担割合は65歳未満と同じ3割なので、月額負担は大きくなります。
経済的な負担を軽減するためには、医療制度を活用することが大切です。ただし、軽減制度を利用するためには申請手続きが必要なこともあるので注意してください。
出典
厚生労働省 令和4(2022)年度 国民医療費の概況
厚生労働省 年齢階級別国民医療費
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ (平成30年8月診療分から)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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