貯蓄「500万円」と退職金「1500万円」があれば“老後貧乏”にはならない?定年時の平均貯蓄額はいくら?
配信日: 2025.01.27
今回は貯蓄500万円と退職金1500万円で、問題なく老後生活を賄えるかについて調べてみました。老後の家計収支や定年時の一般的な平均貯蓄額もご紹介しますので参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
貯蓄500万円と退職金1500万円あれば老後生活は足りる?
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、一般的な年金生活者の家計収支は赤字になるとのことです。例えば65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の家計収支の内訳は以下のようにまとめられています。
●実収入:24万4580円
●消費支出:25万959円
●非消費支出:3万1538円
●不足分:3万7916円
同調査から、夫婦のみの世帯においては、老後の年金生活では毎年45万4992円の不足が生じることが分かります。30年間であれば1364万9760円、35年間であれば1592万4720円となり、老後資金が2000万円あれば毎月の家計収支の不足分を賄えるでしょう。
とはいえ、同調査では車や家電の買い替え費用や家のリフォーム費用、介護費用など、老後に突発的に発生するかもしれない出費は含まれていません。
また趣味や旅行などを楽しむなど、余裕のある生活をしたければ、さらに出費は増えて、家計収支の不足分が大きな負担になる可能性も考えられます。年金の額や生活スタイルにもよりますが「老後資金が2000万円あれば老後貧乏にはならない」とは言い切れないことが分かります。
退職金1500万円すべてが手元に残るとは限らない
退職金1500万円について、全額が手元に残るとは限らない点にも注意が必要です。退職金は退職所得として分離課税され、税制面では優遇されていますが、場合によっては所得税および復興特別所得税・住民税がかかり、手元に残る金額は額面よりも少なくなる場合があります。
国税庁によると、退職所得の計算は原則として以下の通りです。
・(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は勤続年数に応じて計算方法が異なります。
●勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には80万円)
●勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば勤続年数が30年の人の退職所得控除額を上記の計算式にあてはめると1500万円となり、退職金が1500万円であれば非課税になることが分かります。しかし勤続年数が25年であれば退職所得控除額は1150万円となり、175万円に対して所得税および復興特別所得税と住民税がかかることになります。
自身の勤続年数を基に退職金から税金分がいくら引かれるか計算し、確認しておくとよいでしょう。
定年時の平均貯蓄額
定年時にいくら貯蓄額があることが一般的なのか気になる方もいるでしょう。
金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、60歳代の平均貯蓄額は、貯蓄のない人も含めると2026万円(中央値:700万円)で、貯蓄のある人だけで平均を出すと2588万円(中央値:1200万円)です。
平均値は一部の人が金額を引き上げていることが考えられるため、中央値で比較できるでしょう。貯蓄が500万円ある場合、定年時の中央値と比較すると200万~700万円低いといえます。退職金1500万円すべてが手元に残らず、老後資金2000万円では足りない可能性があることも考えて、定年までに貯蓄額を増やしておくとよいかもしれません。
老後資金2000万円では不足する可能性あり! 定年までに貯蓄額を増やすことを検討できる
一般的な老後生活の家計収支を調べたところ、夫婦のみの世帯においては、老後30年間で1364万9760円、35年であれば1592万4720円の不足が生じることが分かりました。
貯蓄500万円と退職金1500万円があれば老後生活の不足分を賄えますが、突発的に発生するかもしれない出費や余裕のある生活のための出費を考えると、老後資金2000万円では不足する可能性があるでしょう。
退職金1500万円は、勤続年数によっては課税対象となり、全額が手元に残らない場合も考えられます。また、二人以上世帯における定年時の一般的な貯蓄額は700万~1200万円であることから、定年までに貯蓄額を増やすことも検討できるでしょう。
貯蓄500万円と退職金1500万円があるから安心するのではなく、老後の年金額や生活スタイルも考慮して、十分な老後資金を用意することは大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)、統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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