高齢になっても「50万円の壁」で働くほど損って本当ですか? がっつり働かない老後設計が必要なのでしょうか

配信日: 2025.02.06 更新日: 2025.10.21
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高齢になっても「50万円の壁」で働くほど損って本当ですか? がっつり働かない老後設計が必要なのでしょうか
働く高齢者の年金を一部または全部カットする制度が、「在職老齢年金」です。働く高齢者の就業意欲を削ぐ制度ともいわれており、改正が予定されています。
 
本記事では、在職老齢年金の仕組みや60歳以降の働き方に関する考え方を解説します。
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改悪? 検討も。50万円の壁

「50万円の壁」とは、在職老齢年金制度による年金カットの対象となる基準です。60歳以上で、働きながら厚生年金を受給する方に影響します。
 
以下の「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が50万円を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。
 

・基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
・総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

 
例えば、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が60万円だった場合、基準である50万円を10万円オーバーしています。10万円の半額である5万円が厚生年金からカットされる、という仕組みです。
 
フルタイムで働いている高齢者の場合、50万円の壁を超えてしまう可能性が考えられるでしょう。先ほどの例では毎月5万円、年間で60万円を損してしまいます。5年間になると、300万円です。
 
働く高齢者の就業意欲を削ぐという指摘もあり、在職老齢年金制度はこれまでも見直しがされてきました。実際に、政府は減額となる基準額を62万円に引き上げる方向で調整しています。
 
日本は少子高齢化が進んでいる背景もあり、人手不足に悩む企業が増えています。就業意欲がある高齢者のモチベーションを損ね、就業をセーブするのは企業としても社会としても損失です。
 
今後も、在職老齢年金は見直しが重ねられると考えられるでしょう。
 

在職老齢年金制度と老後設計の関連性

在職老齢年金の対象となるのは、厚生年金加入者です。つまり、厚生年金に加入せずに働く場合は、収入に関係なく満額分の年金を受け取れます。
 
勤務先との交渉次第にはなるものの、雇用契約ではなく業務委託契約に変更する必要があります。つまり、個人事業主として活動して厚生年金への加入を回避するのです。これにより、収入はそのままに年金カットを回避できます。
 
ただし、社会保険に加入しないということは、受けられる社会保険給付が薄くなるデメリットがあります。健康保険に加入しないため、傷病手当金を受けられず、病気やけがで収入が途絶えるリスクがあります。高齢になると、一般的に病気やけがのリスクが高まることを考えると、やや不安なポイントといえるでしょう。
 
また、国民健康保険に加入したときでも任意継続被保険者になったときでも、保険料は全額自己負担となります。保険料負担が重くなってしまう点は、業務委託契約で働くデメリットです。
 
このように、「在職老齢年金の年金カットを防げる」というメリットと、「社会保障が薄くなる」「社会保険料負担が重くなる」というデメリットを比較したうえで、最適な対策を考えましょう。
 

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まとめ

60歳以上で働いており、老齢厚生年金を受給している方は、在職老齢年金の影響を受けるかもしれません。特にフルタイムで勤務している方は、50万円の壁を超えて年金カットになる可能性が考えられます。
 
在職老齢年金の仕組みを回避するための方法として、社会保険に加入しないことが挙げられます。業務委託契約に変更し、個人事業主として稼働すれば、報酬額に関係なく在職老齢年金の影響を受けません。
 
ただし、社会保険から抜けると「社会保障が薄くなる」「社会保険料負担が重くなる」というデメリットがあります。メリットだけでなく、デメリットも踏まえて、最適な働き方を考えてみてください。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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