年収「1000万円」でも、税金を引かれると手取りは「約800万円」になります。同様に、定年時の退職金が「1000万円」の場合、税金はどれくらい引かれるのでしょうか?
配信日: 2025.02.13

そこで本記事では、退職金1000万円を一時金として受け取った場合の税金額について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金にかかる税金
退職金を受け取った際は、税金が引かれる可能性があります。しかし給与とは税金の計算方法が違うため、給与と同等額の手取りにはなりません。また、勤続年数によっても控除額が違うなど複雑であるため、どれくらいの税金になるのかは人それぞれです。
ここでは、退職金が1000万円だった場合の税金額がいくらになるかシミュレーションしていき、引かれる税金の種類についても解説します。なお、退職金にまつわる税金は、勤め先が源泉徴収で納めますので、個別に確定申告する必要はありません。
退職所得の求め方
退職金からいくら税金が引かれるのかを知るためには、まず退職所得を求める必要があります。
退職所得の求め方は、以下のとおりです。
退職所得の金額=(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)× 1/2
退職所得控除額は、勤続年数によって以下の計算方法で金額を算出します。
●勤続20年以下……40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
●勤続20年超……800万円+70万円×(勤続年数-20年)
ここから、実際に退職金1000万円の退職所得がいくらになるか計算してみましょう。
●退職所得控除……40万円×10年=400万円
●退職所得……(1000万円-400万円)× 1/2=300万円
退職所得が、300万円だと分かりました。この300万円に、税金がかかることになります。
●退職所得控除……800万円+70万円×(25年-20年)=1150万円
●退職所得……(1000万円-1150万円)×1/2=-75万円
退職金1000万円で勤続年数25年の場合、退職所得はマイナスとなります。0円またはマイナスとなった場合は、退職金にかかる税金はありません。
所得税
退職金にかかる税金として、所得税があります。所得税は個人の所得に応じて納める税金で、以下の計算で求められます。
所得税=退職所得×税率-控除額
退職所得が300万円の場合は、税率が10%、控除額は9万7500円です。
300万円×10%-9万7500円=20万2500円
退職所得が300万円の場合、所得税は20万2500円です。
住民税
住民税は、住んでいる都道府県および市区町村に対して納める税金です。東京都北区のケースで、住民税を見ていきましょう。
●特別区民税=退職所得×特別区民税率6%
●都民税=退職所得×都民税率4%
退職所得が300万円の場合、それぞれの税額は以下のとおりです。
●特別区民税……300万円×6%=18万円
●都民税……300万円×4%=12万円
退職所得が300万円の場合の住民税は、あわせて30万円です。
社会保険料
退職金の場合、基本的に社会保険料は徴収されません。しかし、退職金を在職中に前払いとして受け取っていた場合は、給与所得になるため社会保険料の対象となります。例えば、給与の一部として支給されたり、ボーナスに上乗せされたりして退職金を受け取っていた場合は、通常の給与と同等に取り扱われる点に注意しましょう。
退職金から引かれる税金について知ろう
退職金と給与では所得に関する計算方法が違うため、同程度の税金を払うことはありません。例えば、退職金1000万円で勤続年数が10年だった場合、所得税20万2500円+住民税30万円=50万2500円を納めることになるでしょう。勤続年数が長くなると退職所得がマイナスとなり、非課税となることもあり得ます。
自分の退職金からどれくらい税金が引かれるか、退職所得を計算してみるとよいでしょう。
出典
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 No.2260 所得税の税率
東京都北区 退職所得にかかる住民税
厚生労働省 いわゆる退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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