「年金」だけでは足りず、ついになけなしの「貯金」を取り崩すことに……他の高齢者は「年金だけで暮らせている」のでしょうか?

配信日: 2025.02.15 更新日: 2025.10.21
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「年金」だけでは足りず、ついになけなしの「貯金」を取り崩すことに……他の高齢者は「年金だけで暮らせている」のでしょうか?
老後は年金をもらいながらのんびり過ごしたいと考える人は多いでしょう。しかし、年金だけでは生活費をやりくりできない場合もあります。貯金を取り崩したり、定年後も働き続けて収入を確保したりして、年金の不足分を補わなければなりません。
 
本記事では、60歳以上の就業状況や暮らしにおける経済状況、貯金の取り崩し額などを紹介します。
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60歳以上の就業状況と暮らし

内閣府が公表している、令和元年度の「高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、60歳以上で収入のある仕事をしている人の割合は37.3%、仕事をしていない人は62.7%であると分かりました。
 
また、仕事をしている理由を尋ねたアンケートでは、最も多いのが「収入がほしいから」で、45.4%もの人が回答しています。次いで、「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が23.5%でした。
 
また、経済的な暮らし向きについて尋ねたアンケートの結果を表1にまとめました。
 
表1

家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている 20.1%
家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている 54.0%
家計にゆとりがなく、多少心配である 20.3%
家計が苦しく、非常に心配である 5.1%

※内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」を基に筆者作成
 
家計に対して不安を抱えていると回答している人は約25%と、年金だけでは生活するのが難しい可能性があると推察できます。
 

貯金の取り崩し額

貯金の取り崩しをどのくらいの頻度で行っているかを調査した結果を表2にまとめました。
 
表2

よくある 13.5%
時々ある 34.6%
ほとんどない・まったくない 51.6%

出典:内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」より筆者作成
 
この結果から、年金だけで暮らすのが難しく、預貯金を取り崩しながら生活している人は全体の半数近くいる可能性があると分かります。
 
次に、60歳以上の方の預貯金取り崩し額の平均と割合を表3にまとめました。
 
表3

1万円未満 1.4%
1万~2万円未満 12.2%
2万~5万円未満 36.9%
5万~10万円未満 25.0%
10万円以上 15.1%

出典:内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」より筆者作成
 
多くの人が1ヶ月あたり2万~10万円ほどの貯金を取り崩している可能性があると分かります。
 

平均的な年金受給額と生活費

ここでは、平均的な年金受給額と生活費を紹介します。令和4年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均月額は、約14万5000円です。また、令和5年の家計調査報告 月次結果(概要及び統計表)をみてみると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な生活費は14万5432円です。
 
平均的な年金受給額と一人暮らしの年金受給者の生活費はいずれも約14万5000円と、年金だけでも生活できる可能性はあるでしょう。しかし、病気やケガ、自宅のリフォームなど、まとまった出費が必要になる場合もあります。
 
通常の生活費はやりくりできたとしても、急な出費に対応できないおそれがあるため、貯金を取り崩さなければならない場合もあるでしょう。年金だけでやりくりするのは現実的に難しいと考え、十分な貯蓄を用意しておいたり、定年後も働き続けたりするなど、年金以外の資産や収入を確保しておくことをおすすめします。
 

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高齢者の半数ほどは年金だけでは生活費をまかなえていない可能性がある

60歳以上の高齢者で仕事をしていない人は約6割で、家計が苦しい、ゆとりがなく心配と感じている人は約25%いると分かりました。また、高齢者の経済生活に関する調査によると、全体の半数以上の人が貯金を取り崩しながら生活しているようです。さらに、多くの人が貯金を取り崩しながら生活していると回答していることも分かりました。
 
これらを踏まえると、老後は年金だけでの生活が難しい可能性があると考えられます。そのため、早いうちから貯蓄をしたり節約をしたりすることを心がけるとよいでしょう。また、場合によっては定年退職後も働き続けることを検討しましょう。
 

出典

内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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