60代の母が再雇用による「年収150万円ダウン」を嘆いていました。減りすぎな気もしますが、それでも「年収300万円」あるのはすごいことなのでしょうか?
配信日: 2025.03.04

本記事では、再雇用で年収が150万円下がることは減りすぎなのかどうか、再雇用後に年収が300万円あることはすごいことなのかどうかを解説していきます。
再雇用後の給与水準に不安を抱えている人はぜひ最後まで読んでみてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
再雇用で年収が150万円下がることは減りすぎなのか
株式会社パーソル総合研究所が2021年に実施した「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」によると、約9割の方が再雇用後に年収が下がったと回答しています。また、年収の減少率の全体平均は44.3%であり、「50%より下がった」と回答した人の割合が27.6%で最も高い割合を占めています。
一方、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与は460万円で、再雇用で年収が減少率の全体平均である44.3%下がると仮定した場合の減少額は「203万7800円」でした。
以上のことから、再雇用で年収が150万円下がることは減りすぎとはいえず、平均値よりも減少額が少ないといえるでしょう。
再雇用後に年収が300万円あることはすごいことなのか
平均給与の460万円を給与収入として得ていた人が、再雇用による年収減少率の全体平均である44.3%下がると仮定した場合、再雇用後の年収は「256万2200円」です。また、再雇用後の年収が300万円だった人の再雇用前の年収は、減少率の全体平均に当てはめると「538万5996円」になります。
以上のことから、再雇用後の年収が300万円であることは平均値以上であり、平均値と比較すればすごいことであると判断できます。
65歳で再雇用になり70歳で退職する場合、ゆとりある老後は過ごせるのか
再雇用後の年収が300万円であることはすごいことだと説明してきましたが、65歳で再雇用になり70歳で退職すると仮定した場合、ゆとりある老後は過ごせるのでしょうか。
ここでは、65歳から年収300万円で70歳まで働き、70歳以降は年金生活と仮定して話を進めます。なお、夫婦2人が国民年金と厚生年金の両方を受け取り、再雇用後の働き手は1人、夫婦2人で生活するものとします。
公益財団法人生命保険文化センターによると、ゆとりある老後生活費(夫婦2人分)は平均で月額「37万9000円」でした。これに対して、年収300万円の手取り額は約240万円といわれており、月額は20万円になります(賞与は考慮しない)。
また、日本年金機構によると、令和6年度の「厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)」は23万483円ということです。
年収300万円の月額手取り額と年金受給額を合計すると「約43万円」になるため、65歳~70歳の間はゆとりある老後生活を過ごせるといえます。
70歳以降は月額23万円ほどで生活することになるため、ゆとりある老後生活には届かないものの、ある程度の生活水準は維持できるでしょう。
もし不安な方は、退職後に必要な生活費の金額を確認しておくことをおすすめします。ゆとりある生活をするための準備を早めに進めておきましょう。
再雇用後の給与水準と理想の老後生活費を比較して、事前に準備を整えよう
再雇用で年収が150万円下がることは、年収の減少率の全体平均から見ると、減りすぎではないようです。また、再雇用後の年収が300万円であることは、給与所得者の平均給与である460万円に減少率の全体平均を当てはめた値から見ると平均以上です。再雇用によって働いている間であれば、ゆとりある老後生活を送れるといえます。
ただし、退職した後に年金のみで生活する場合は、月々に必要な生活費の平均は下回ってしまいます。仕事をやめた後に、どの程度の貯蓄があればいいのか、具体的な数値で見ることで事前の準備を整えることが可能です。
本記事を参考にして自身の現状を把握し、すてきな生活を送ってください。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
株式会社パーソル総合研究所 シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー