定年後の再雇用で収入が減るのに「厚生年金保険料」を払う意味はあるのでしょうか?70歳まで働き続けた場合、どのくらい年金が増えますか?

配信日: 2025.03.11

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定年後の再雇用で収入が減るのに「厚生年金保険料」を払う意味はあるのでしょうか?70歳まで働き続けた場合、どのくらい年金が増えますか?
65歳以降も働くのか、65歳からは年金収入のみで生活するのかを悩む方もいるでしょう。もし65歳以降に働いて厚生年金に加入していると、年金が増える可能性がある一方で注意点も存在します。
 
人によっては、想定よりも年金額が増えないと感じるケースもあるので、65歳以降も厚生年金に加入したときの扱いを知っておきましょう。今回は、65歳以降も働き続けたときの厚生年金についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

65歳以降も厚生年金に加入し続けるメリットは?

定年後も働き続けた場合の年金額は、65歳以降の給与収入によって増える可能性があります。老齢厚生年金は厚生年金への加入期間によって変わるためです。
 
老齢厚生年金は、ほかに加算がなければ基本的に報酬比例部分から求められます。日本年金機構によると、厚生年金に平成15年4月以降に加入しているときの報酬比例部分は、「加入月数×0.005481×平均標準報酬額」です。そのため、加入月数が多いほど金額も多くなります。
 

65歳以降も厚生年金に加入するときの注意点

もし総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額が50万円(令和6年度の支給停止調整額)を超えていると、「在職老齢年金」として超えた金額に応じて老齢厚生年金が支給停止されます。日本年金機構によると、支給停止されたあとの支給額は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」です。
 
基本月額とは老齢厚生年金の月額、総報酬月額相当額は収入を基に決められるその月の標準報酬月額に、標準賞与額の月額平均を足した金額を指します。
 
そのため、もし支給停止になる基準額を超えていない範囲で収入があれば、働いた期間分だけ年金額も増加するでしょう。しかし、支給停止の対象になると、その減額分だけ受け取れる年金額が少なくなる可能性があります。
 

定年後も働くと年金額はいくらくらい増える?

今回は、以下の条件で70歳まで勤務を続けたときの年金額を求めましょう。

●22~65歳(定年)まで平均標準報酬額が40万円(年収480万円ベース)で勤務
●65~70歳までは平均標準報酬額が20万円(年収240万円ベース)で勤務
●賞与は考慮しない
●平成15年4月以降に厚生年金に加入
●老齢厚生年金額は報酬比例部分と同額
●国民年金は全額納付済み
●老齢基礎年金額は令和6年度のもの
●在職定時改定は考慮しない

まず、条件を基にすると、65歳までの報酬比例部分は約113万1278円、月額約9万4273円です。令和6年度の老齢基礎年金額は月6万8000円、年81万6000円なので、もし65歳で受け取ったときの年金は合計約194万7278円、月額約16万2273円です。
 
一方、70歳まで勤務を続けると報酬比例部分は約119万7051円、月額約9万9754円になります。老齢基礎年金額と合計すると、年約201万3051円、月額約16万7754円です。
 
今回のケースだと、70歳まで働くことで年金額は約6万5773円、月額約5481円増加します。
 
なお、同じ条件だとすると、65歳以降の厚生年金保険料は月額1万8300円、年21万9600円です。年金の増加額と比べると多く感じますが、保険料は年金ではなく給与から引かれます。実質的には年金額が減ることなく、増額した金額を受け取れるでしょう。
 

70歳まで働くと年金は年6万5000円ほど増加するケースがある

定年後も70歳まで勤務すると、今回のケースでは年金額が約6万5773円増加する結果でした。勤務していると厚生年金保険料の支払いも必要ですが、給料からの天引きなので、年金額には影響しないでしょう。
 
ただし、年金の受給権が発生してから働いているときに、一定金額を超えると老齢厚生年金の一部や全額が支給停止されるケースがあります。老後も収入の高い仕事に就いている方は、想定より年金額が増えない可能性があるので、注意しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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