「最低限必要」な「老後資金」ってどのくらい? 「夫婦二人」の場合の老後資金について考える
配信日: 2025.03.14

この記事では、夫婦二人が安心して老後を過ごすために最低限必要な資金額と、不足する場合の対策を解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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夫婦二人の老後生活に最低限必要な資金額
一般的に、夫婦二人の老後生活に最低限必要な資金は、毎月の生活費と老後の期間を考慮して算出します。
総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職高齢夫婦世帯の1ヶ月の平均消費支出は25万959円です。一方、公的年金などの平均実収入は夫婦合わせて24万4580円なので、6379円の赤字であることが分かります。
しかも、税金や社会保険料として「非消費支出」が月平均3万1538円かかるため、実際に使えるお金(可処分所得)は21万3042円となり、毎月3万7917円の赤字が発生する可能性があるのです。
赤字が20年(65歳~85歳)続くとなると不足額は約910万円に、30年(65歳~95歳)では約1365万円が不足するでしょう。
これを踏まえると、老後に最低限必要となる資金は最低でも1000万円程度、ゆとりを持つなら2000万円程度が必要だと考えられます。
老後の主な支出項目
老後に必要な生活費とは、食費や水道光熱費だけではありません。さまざまな節約しづらい費用も考慮する必要があります。
まず、医療費や介護費です。加齢とともに医療費の負担は増える傾向があるため、多めに確保しておく必要があります。
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担費用は、70代では52.5%の人が預貯金で対応しているようです。
また、要介護状態になった場合、自宅介護の費用だけでなく、介護施設や訪問介護の費用もかかると考えられます。公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、住宅改造や介護用ベッドの購入などで一時的にかけた費用の平均は74万円、月々の介護に要した費用は1ヶ月平均8万3000円です。
また、持ち家がある場合でも、固定資産税や修繕費が発生します。賃貸の場合は家賃を支払い続ける必要があり、いずれも年金のみでは生活が厳しくなってしまう可能性があります。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が実施した「2023年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査結果報告書」によると、50代以上がリフォームにかけた費用は平均282万円です。
このように、老後は想定以上の支出が発生する可能性があるため、計画的な準備が欠かせません。
老後資金計画と対策
老後資金を確保するためには、早い段階から計画を立てることが重要です。
現在の貯蓄額を把握し、老後に向けてどのくらい貯蓄が必要か、現在の資産状況を確認しましょう。ねんきんネットなどを利用し、将来の年金受給額を試算します。
不足額を試算したら、貯蓄や投資などを活用して早めに資産形成を行いましょう。例えば、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用すれば、老後資金を効率よく準備できる可能性があります。さらに余裕があれば、投資信託などの資産運用を検討するのもよいでしょう。
また、病気などの健康不安もなく動ける場合には、定年退職後もシニア向けの再就職やパートで収入を確保しましょう。もし働いて得た収入だけで余裕を持った生活ができるのであれば、年金の繰下げ受給制度が利用できると考えられます。
住居費や保険料などの固定費を削減し、支出を抑えることも重要です。老後は必要な保障や生活スタイルも変化する可能性があります。変化に合わせて不要な支出を減らすことで、老後資金を確保していきましょう。
老後資金をしっかり準備し、安心した生活を
夫婦二人の老後生活には、最低限でも1000万円、ゆとりを持つなら2000万円以上の貯蓄が必要となる可能性があることが分かりました。公的年金だけでは不足する可能性が高いため、早めの準備が重要です。貯蓄や資産運用、働き方を工夫しながら計画的に資金を準備し、安心して老後を迎えられるようにしましょう。
出典
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度生活保障に関する調査
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2023年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査結果報告書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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