退職金「1000万円」をもらい、退職しました。私と妻の介護費用は退職金からいくらくらい取っておけばいいですか? 貯金がないので目安が知りたいです
配信日: 2025.03.14

しかし貯金がないので、介護費用を取っておく必要があると思い、「介護費用はいくらくらい取っておけばいいのか」とのご相談です。ちなみに、Aさんは再就職を希望しておらず、Aさん妻はもともと扶養内パートで現在も週2日ほど勤務をしています。

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
生涯の介護費用500万円
介護費用は個人の状況によって異なります。生命保険文化センターが行った調査では、介護に必要となった費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅の改造や介護用ベッドを購入するための費用など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用として平均8.3万円です。
介護を行った場所や施設ごとに介護費用(月額)を見ると、在宅は平均4.8万円、施設は平均12.2万円となっています。介護に要した期間は約5.1年という結果になっています。
もちろんこれはあくまで目安で、介護の期間や受けるサービスによって変わります。長い場合は 10年以上 継続することもあります。さらに、公的介護保険があるため、実際の自己負担額は利用するサービスによって異なります。
これらを考え併せて、500万円と見積もっておくとよいでしょう。
退職金のうち、500万円を介護費用として確保する
Aさんの場合、退職金1000万円を受け取られたとのことですが、そのうち 500万円程度を介護費用の目安として確保しておくと安心です。その場合、必要な額を一括で確保するのではなく、一部を低リスク運用(例:個人向け国債、投資信託)にまわすことで、資産を増やしながら備える方法も検討するとよいでしょう。
例えば、50万~100万円程度を流動性のある資産運用にまわしながら、将来の介護費用に備えてはいかがでしょうか。運用益は介護費用に充て、流動性に問題のない投資対象を選ぶことで、必要になった時には柔軟に引き出せるようにしておくなど大まかなルールを決めておきましょう。
民間の介護保険に加入する
民間の介護保険に加入しておくのも選択肢として検討できます。
主に民間の介護保険プランには、支給されるタイミングによって一時金型(介護になったときにまとまった額が支給される)タイプと年金型(毎月一定額を受け取れる)タイプがあります。保険会社のホームページには、シミュレーションソフトなども掲載されています。
健康状態、すでに契約継続中のプランや保険料、給付のバランスを考慮し、資産分散という考え方から、こちらも選択肢として採用してみてもいいですね。
公的介護保険サービスについても確認
介護保険制度があります。介護が必要になった際には自己負担額を抑えられます。
例えば、要介護認定を受けると、介護サービスの利用費用の自己負担割合は 1~3割 です。また、特養(特別養護老人ホーム) などの公的施設を利用すれば、費用を抑えられる可能性があります。
このような公的なサポートを最大限活用すれば、実際に自己負担する費用は減らせますが、自分から申請しなければならないので、早いうちから確認しておきましょう。
出典
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム サービス利用までの流れ
生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者