「月20万円の年金だけでは生活が苦しい」と言う母。老後の生活費はそんなにかかるものでしょうか?
配信日: 2025.03.18

もし老後の生活が厳しいときは、平均支出額や普段の出費を比較して、節約できる項目がないかのチェックが必要です。今回は、老後の平均支出や生活費の工面をするコツなどについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後の1ヶ月あたりの生活費はいくら必要?
総務省統計局が公表している2024年の「家計調査 家計収支編」によると、65歳以上かつ単身世帯の平均消費支出は月15万4601円です。そのため、母親が一人暮らしで平均消費支出と同程度の出費であれば、年金でも日常生活は可能だといえるでしょう。
一方、65歳以上で二人以上の世帯の平均消費支出は月26万5898円です。「年金月20万円」が、母親だけの年金額でなく、夫婦で合計月20万円だとすると、生活には足りない可能性があるでしょう。
また、物価の上昇や高齢になることで医療費が増加するなどで、生活費が足りなくなる可能性はあります。
親が年金だけでは生活が苦しいと言っているときは、家計を圧迫している費用を知るためにまずは支出を確認しましょう。
老後で生活費を工面するコツ
退職して年金生活に突入すると、多くの方が、働いていたときよりも毎月の収入が少なくなるでしょう。そのため現役時代と同じ金銭感覚で生活をしていると、収入に対する支出の割合が多くなってしまう可能性があります。
老後の生活で費用に余裕を持たせるには、働いていたときよりも節約することが大切です。出費が多いかどうかを知るためには、項目ごとの平均支出額と比較するとよいでしょう。
総務省統計局の資料によると、65歳以上の単身世帯における項目ごとの1ヶ月の平均消費支出額は以下の通りです。
●食料:4万2973円
●住居:1万3677円
●光熱・水道:1万4528円
●家具・家事用品:6735円
●被服および履物:3656円
●保健医療:9102円
●交通・通信:1万5984円
●教育:12円
●教養娯楽:1万6311円
●その他の消費支出:3万1624円
例えば、毎月の水道光熱費が2万円を超えているのであれば、水道やガス、電気を節約すれば生活費を工面できる可能性があります。食料費や衣類にかかる費用が平均より高いのであれば、無駄な買い物をしていないか確認しましょう。
なお、状況によっては平均より高くても節約できないこともあります。無理な節約はせずできる範囲で支出額を減らせないか工夫することが大切です。
老後までに必要な生活費を用意する方法
老後の生活費に余裕を持たせるためには、年金のみに頼るのではなく働いている間に少しずつ貯金をして資産形成をしましょう。例えば、月収のうち3万円を毎月老後用の資産として積み立てていくと、30年で1080万円貯金できます。
また、個人年金保険に加入し、老後に受け取れる年金額を増やす方法もよいでしょう。お金に余裕があるうちに医療保険に加入しておくと、もし事故や病気で入院したときに保険からの補塡(ほてん)金を受け取れます。そのため、老後の医療に関する出費を抑えられるでしょう。
自分の収入状況や老後のライフプランに応じた貯金計画を立てることが大切です。
老後の単身世帯の平均消費支出は月に15万4601円
総務省統計局の調査によると、65歳以上で単身世帯の消費支出は平均で月に15万4601円でした。もし母親が一人暮らしの場合は、月20万円の年金があれば基本的には足りる計算です。しかし、二人以上の世帯の場合は月26万5898円のため、仮に夫婦で月20万円の場合は生活費が足りなくなる可能性があります。
老後の生活費が足りないときは、生活費の平均支出も参考に、多く支払っている費用がないか確認しましょう。もし平均よりもかなり高い場合は、節約できる可能性もあります。
また、老後の生活費に余裕を持たせたいときは、働いているときに計画的に貯金しましょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2024年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号2 男女,年齢階級別
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2024年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-2 世帯主の年齢階級別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー