定年退職する場合、会社員の妻の「扶養」に入れる? 要件を解説
配信日: 2025.03.20

例えば夫が妻の扶養に入る場合、夫は健康保険料を払う負担がなくなります。また、妻側にもメリットがあるようです。
そこで本記事では、夫が定年退職後に会社員の妻の扶養に入り健康保険に加入するための条件や、妻側のメリットについて紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次 [非表示]
定年退職後に加入できる健康保険は3パターン
定年退職後は、健康保険に新たに加入しなければなりません。加入できる健康保険の選択肢は以下の3つです。
・国民健康保険
・退職した会社の任意継続被保険者制度
・妻の会社の健康保険
国民健康保険へ加入すると、前年の所得や年齢などを基に保険料が決まります。そのため、前年に正社員で働いていた場合、高くなる可能性があるでしょう。
任意継続被保険者制度へ加入した場合も、これまで事業主と折半で支払っていた保険料が、全額自己負担となります。
その点、妻の扶養に加入できれば、健康保険料の負担は一切かかりません。
妻の扶養で健康保険に入るための条件
妻の扶養に入るためには、次の条件を満たす必要があります。
・条件1:夫が60歳以上の場合、年間収入が180万円未満である(60歳未満は130万円未満)
・条件2:夫の年間収入が被保険者である妻の年収の2分の1未満である
例えば、60歳の夫が定年退職後にパートなどで働いていて、年間収入が180万円を上回っていれば、妻の被扶養者になれないことが原則です。また、定年後に失業給付金を受けている場合、基本日額が4999円超だと扶養に入れないため注意しましょう。
ただし例外として、条件1を満たしていて、かつ「被保険者の年間収入を上回らない」場合、「妻の年収で生計を維持している」と認められれば、被扶養者になれる可能性があります。
夫が扶養に入ることで妻は控除を受けられる
夫が要件を満たし妻の扶養に入ることで、夫自身だけでなく妻にも「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられるメリットがあります。それぞれの要件を確認しましょう。
配偶者控除を受けるための要件
国税庁「配偶者控除」によれば、配偶者控除を受けるための要件は次のとおりです。
・妻の合計所得金額が1000万円以下
・夫の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)
・妻と生計を共にしている
・民法上の配偶者である(内縁関係は認められない)
・青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではない
これらの要件を満たすことで、最大38万円の配偶者控除を受けられます。
配偶者特別控除を受けるための要件
同庁の「配偶者特別控除」によれば、以下の要件を満たせば、妻は最大38万円の配偶者特別控除を受けられます。
・妻の合計所得金額が1000万円以下
・夫の合計所得金額が48万円超~133万円以下
・妻と生計を共にしている
・民法上の配偶者である
・青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではない など
夫の合計所得金額が48万円を超えていても控除を受けられる点などが、配偶者控除とは異なります。
なお、配偶者控除と配偶者特別控除の両方を受けることはできません。
定年退職した場合、条件を満たすことで妻の扶養に入り健康保険にも加入できる
夫が定年退職し妻が会社員の場合、条件を満たすことで、夫は妻の扶養に入れます。扶養に入り、健康保険にも加入すれば、健康保険料の負担はかかりません。また、妻自身も配偶者控除や配偶者特別控除を受けられ、節税にもつながるでしょう。
老後の資金について不安がある人は、今回解説した内容を参考に、配偶者の扶養に入ることを選択肢の1つとして考えるのもよいかもしれません。
出典
国税庁 配偶者控除
国税庁 配偶者特別控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー