「退職金2000万円」を中古マンション購入に充てたいです。退職金を手取りにするといくらくらいなのでしょうか?

配信日: 2025.03.21

この記事は約 4 分で読めます。
「退職金2000万円」を中古マンション購入に充てたいです。退職金を手取りにするといくらくらいなのでしょうか?
退職金を、中古マンションの購入を始めとする大きな買い物に充てたいと考える方もいるでしょう。しかし、購入するものを検討するときは、額面の退職金額ではなく手取り額で考える必要があります。また、退職金なしで老後の生活に影響がないか考えることも大切です。
 
今回は、退職金の手取り額の求め方や、老後の支出などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

退職金の手取り額の求め方

退職金は、額面通りに受け取れるわけではありません。給料と同様に、所得税や住民税の課税対象になります。今回は、退職金を一括で受け取ったときの手取り額の求め方をご紹介します。
 
まず、退職所得控除を求めましょう。退職所得控除の計算式は、退職金を受け取ったときの勤続年数に応じて以下のように変動します。
 

・20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満になったときは80万円)
・20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 
次に、課税退職所得金額を計算しましょう。課税退職所得金額は「(源泉徴収される前の退職金額-退職所得控除額)×2分の1」です。
 
その後、求めた課税退職所得金額に所得税率などをかけた金額が、退職金にかかる税金です。退職所得は分離課税なので、ほかの所得とは合算しません。国税庁によると、退職所得にかかる所得税率は表1の通りです。
 
表1

退職所得 税率 控除額
1000~194万9000円 5%
195万~329万9000円 10% 9万7500円
330万~694万9000円 20% 42万7500円
695万~899万9000円 23% 63万6000円
900万~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円~ 45% 479万6000円

出典:国税庁「パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 退職金と税」を基に筆者作成
 
住民税の計算は、所得割が10%と均等割の合計が一般的ですが、均等割額については自治体によって異なります。所得税と住民税を退職金額から引くと、手取りが分かるでしょう。
 

2000万円の退職金を受け取ったときの手取り額は?

今回は、以下の条件で退職金の手取り額を計算します。
 

・勤続30年
・退職金2000万円
・一括受け取り
・適用される控除は退職所得控除のみ

 
まず、退職所得控除は「800万円+70万円×(30年-20年)」で1500万円です。退職所得の計算式に当てはめると「(2000万円-1500万円)×2分の1」となるため、250万円になります。
 
退職所得が250万円のときを表1の所得税率に照らし合わせると、税率が10%、控除額は9万7500円です。計算すると、所得税は15万2500円になります。
 
住民税は所得割と均等割(5000円と仮定)で「250万円×10%+5000円」となるため、25万5000円です。退職金額から所得税と住民税を引くと、手取りは1959万2500円になります。
 
もし、中古マンションの購入に退職金を充てたい場合は、この手取り額を基に考えた方がいいでしょう。
 

老後の生活費はいくらくらい必要?

総務省統計局の「家計調査 家計収支編」によると、2024年時点での二人以上の無職世帯で、65歳以降の月の平均実支出は以下のように変動します。
 

・65~69歳:35万2686円
・70~74歳:30万3839円
・75~79歳:29万216円
・80~84歳:26万1156円
・85歳~:25万6883円

 
例えば、65~69歳の平均額を毎月出費すると考えると、1年間で423万2232円が必要です。年齢が上がるにつれ必要な金額は下がりますが、ある程度使えるお金に余裕があった方がいいでしょう。
 
年金と貯金額にもよりますが、全額をマンション購入に使わず、一部にすることで、老後の生活にゆとりができる可能性があります。
 

退職所得控除のみなら退職金2000万円の手取りは約1959万円

退職金からは所得税と住民税が引かれるため、退職金を活用して中古マンション購入に充てたいときは、手取り額を基に考える必要があります。今回のケースだと、手取り額は1959万2500円です。控除が退職所得控除以外もある場合は、手取り額が変わる可能性もあります。
 
なお、全額をマンション購入に充てる前に、貯金や年金だけで生活できるかの試算もしておきましょう。老後は、徐々に出費が減る傾向にあるとはいえ、場合によっては退職金を一部生活費に回した方が、よりゆとりのある老後を送りやすくなります。
 

出典

総務省統計局 e-Stat政府統計の総合窓口 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2024年 表番号3-2
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】
夫の家事への不安に関するアンケート
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集
FFジャックバナー_ヘッダー用 【PR】
FFジャックバナー_フッダー用 【PR】