定年後は孫の世話をすることになりそうですが、お金はどれくらい準備したら良いでしょうか?
本記事では、孫にかかる費用をケース別に紹介し、資金を用意するコツについても解説します。
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ケース別に見る孫にかかる費用
孫にかかる費用は、2つのケースに分けられます。プレゼントやお小遣いなどを渡すケースか、教育費を支払うケースです。2つのケースによって予算が異なるため、当てはまるケースを参考にしてみてください。
定期的にプレゼントやお小遣いなどを渡す場合
ソニー生命保険株式会社が実施した「シニアの生活意識調査2024」によると、プレゼントやお小遣いを渡したり、入学祝いなど孫のために使ったりした平均額は、1年間で10万4717円でした。金額別に見ると、5万円~10万円が全体の27.5%を占めており、次いで10万円~20万円が17.4%でした。
0歳~成人する18歳までにかかる費用を、調査の平均額を基に算出すると、総額は約189万円になります。ただし、お祝い金の有無やプレゼントの金額によって費用は変動します。
教育費をまかなう場合
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によれば、各学校種の学習費総額は図表.1のとおりです。
図表.1
| 平均予算額(1年間) | |
|---|---|
| 公立幼稚園 | 18万4646円 |
| 私立幼稚園 | 34万7338円 |
| 公立小学校 | 33万6265円 |
| 私立小学校 | 182万8112円 |
| 公立中学校 | 54万2475円 |
| 私立中学校 | 156万359円 |
| 公立高等学校(全日制) | 59万7752円 |
| 私立高等学校(全日制) | 103万283円 |
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」より筆者作成
公立か私立どちらの学校に通うかで教育費は異なります。特に、小学校からはかかる費用に大きな差が生じるため、私立に通う予定の場合は年間約100万円以上の予算を組んでおく必要があるといえるでしょう。
孫にかける費用が自分たちを苦しめることも
孫にかかる費用は、時として自分たちの生活を苦しめることもあります。そのため、まずは自分たちの定年後の生活費を算出してください。生活費の予算を把握した上で、足りない分を定年までに捻出する方法を考えましょう。
定年後にかかる生活費の目安
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯にかかる1ヶ月の平均支出額は25万6521円です。
一方で可処分所得、いわゆる手取り額は22万2462円なので、支出が3万4058円上回っています。人によって年金の受給額は異なるため、孫にかける費用の捻出が難しい場合もあるでしょう。
孫にかける費用を用意するコツ
孫のために、出し惜しみしないでお金をかけたいと考える方もいるはずです。しかし、自分たちの生活を考えると、意外と使えるお金がないことに気づく方もいるかもしれません。本項目では、孫のために費用を用意する2つの方法を紹介します。
生活費に余裕を持たせた予算設定
継続的な支援を行うためには、自分たちの生活費に余裕を持たせた上で孫にかける費用を決めると良いでしょう。定年後はお金に余裕がなくなる方もいるため、何も決めずに使ってしまうと、生活が破綻してしまう可能性があります。
そのため、まずは自分たちの生活費を少し多めに確保し、残りの金額から孫にかける費用を決めることで、孫の成長に合わせた金銭的なサポートができます。
投資で資金を増やす
孫にかかる費用を決めておく方法以外にも、不足分を投資で増やすことも1つの方法です。しかし、さまざまな投資方法があるため、どれを選べば良いのか分からない方もいるはずです。
例えば、運用益が非課税のNISAやiDeCoなら、通常の投資よりも負担なく運用できます。投資なのでもちろんリスクはありますが、孫にかかる費用や自分たちの生活費に余裕を持たせるために資金源を増やすことは重要です。
生活費を圧迫しない程度の予算を決めておこう
孫の教育費を負担しない場合でも、0歳~成人するまでに平均で約189万円が必要なので、定年後では家計が苦しくなるほどの出費になってしまう可能性もあります。
そのため、まずは定年後の収支を把握し、孫にかけられる費用をあらかじめ決めておくと安心です。孫の成長を継続的に支援したいのであれば、自分たちの生活費を確保した後で、孫にかけられる資金を確保することをおすすめします。
出典
ソニー生命保険株式会社 シニアの生活意識調査2024
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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