60歳で定年を迎えましたが、再雇用で「年収300万円」のオファーがあります。65歳までこのまま働くべきでしょうか?
特に再雇用の年収が300万円と聞くと、「現役時代と比べて少なすぎるのでは」と感じる方もいるかもしれません。
本記事では、再雇用で提示された年収300万円が平均的なのかを検証しつつ、再雇用で働き続けるメリット・デメリット、その他の選択肢についても解説していきます。
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再雇用で年収300万円は平均的?
定年後に再雇用される場合、年収が現役時代に比べて大きく下がるのは一般的です。
パーソル総合研究所の「シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査」(調査時期:2021年1月、調査対象者:合計6000人)によれば、定年後再雇用者の約9割が定年前より年収が下がっており、再雇用者全体の平均で44.3%が低下しています。
そのなかで、50%程度下がった人は22.5%、50%より下がった人は27.6%と、約半数の人が定年前の年収の半分以下になっています。
この調査結果から、現役時代に年収500~600万円程度だった方が、再雇用で250~300万円前後になるのは珍しくないということです。ただし、企業規模や学歴などによって、給与額は異なります。
また、嘱託社員やパートなどの非正規雇用や職務縮小時を考えると、年収300万円は現実的な水準といえるでしょう。
再雇用で働くメリット
再雇用で働き続ける最大のメリットは、60歳以降も収入が継続することです。年金の本格的な支給が始まるまでの数年間、安定した収入を得られることは、生活の安心につながります。特に、年金が65歳から支給される人にとって、60~64歳の5年間をどう乗り切るかは大きな課題です。
また、同じ職場で働き続けることにより、仕事内容や人間関係に大きな変化がなく、精神的なストレスも少ないというメリットがあります。新しい職場に慣れる手間がなく、これまでの経験やスキルを生かせる点も再雇用の魅力です。
さらに、再雇用中に資格取得やスキルアップに取り組むことも可能です。
例えば、宅建士や簿記などの資格を取れば、退職後の仕事の幅が広がります。この期間を次のキャリアに備える準備期間と位置づけることで、将来の選択肢が広がるでしょう。
デメリットと注意すべきポイント
一方で、年収が下がることで生活スタイルを見直す必要が出てくるのは大きなデメリットです。再雇用ではボーナスが支給されないケースが多く、退職金は定年時に支給された後は対象外となる企業が一般的です。
また、勤務形態も嘱託社員やパート扱いになるケースが多く、労働条件が大きく変わる可能性もあります。
さらに、再雇用後の仕事内容が以前と同じとはかぎらず、責任範囲が狭くなったり、別の部署に配属されたりすることもあり、「やりがいを感じにくくなった」と感じる方もいるようです。
ただし、全く異なる職種への配置転換は違法とされる場合があるため注意が必要です。そのため、再雇用契約の前には、雇用条件や業務内容、契約更新のルールなどをしっかり確認しておくことが重要です。
他の選択肢も考えてみる
再雇用以外にも、60歳以降の働き方にはいくつかの選択肢があります。例えば、これまでの職歴やスキルを生かして他企業に転職する方法です。中小企業やベンチャーでは、シニア人材の経験を高く評価するところもあります。
ただし、再就職は競争率が高く、給与水準も再雇用と大きく変わらないケースが多い点には注意が必要です。また、再就職先には年下の上司がいることが多いため、柔軟な対応が求められます。
また、起業やフリーランスとして働く選択肢もあります。特技や趣味を生かした個人事業など、自分のペースで働ける点は魅力ですが、収入が不安定になるリスクもあります。社会保険や税金の手続きも自分で行う必要があり、税金や会計の手続きも自分で行わなければなりません。
再雇用でのオファーを受けたら、収入と契約内容の確認を忘れずに
再雇用で年収300万円というオファーは、60代前半の給与水準として現実的な範囲内といえます。年金支給開始までの期間において、継続的な収入を得られる点で経済的な安心感につながります。
定年後の働き方は、生活スタイルや価値観に合わせて選ぶことが大切です。週数日の勤務や業務範囲の調整など、柔軟な働き方と貯蓄計画を組み合わせることで、無理のないセカンドライフを実現できます。雇用条件や業務内容をよく確認したうえで、自分に合った選択をじっくり検討しましょう。
出典
株式会社パーソル総合研究所 シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー