定年後、夫婦2人で生活費はどれくらいかかる? 60歳以上の「平均支出」をみてみた

配信日: 2025.05.07 更新日: 2025.10.21
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定年後、夫婦2人で生活費はどれくらいかかる? 60歳以上の「平均支出」をみてみた
定年後は給与収入や事業収入がこれまでのように入らなくなるため、生活費をやりくりできるか心配になるかもしれません。
 
年金のみが収入減になる場合、必需品を買うのに十分な額が得られるか、それとも貯蓄を取り崩す必要が出てくるかなど、いろいろな資金計画が必要です。
 
本記事では、夫婦2人がどれくらいの生活費を必要とするか、おおまかな支出額をご紹介します。また平均的な年金額についても取り上げ、予想される差額を解説します。
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60歳以上の平均収支バランスと生活費の内訳

まず、60歳以上における平均的な収入や支出の額を見てみましょう。また消費支出の内訳を見て、具体的にどのような生活費が発生するか取り上げます。
 

60歳以上の無職2人以上世帯はマイナス収支

総務省統計局が発表した「家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表(2024年)」では、60歳以上の世帯における収入や支出状況が公開されています。
 
表1に、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上の世帯主がいる無職2人世帯の収支バランスをまとめました。
 
表1

60歳以上の者がいる世帯
(世帯主が60歳以上)
65歳以上の者がいる世帯
(世帯主が65歳以上)
70歳以上の者がいる世帯
(世帯主が70歳以上)
75歳以上の者がいる世帯
(世帯主が75歳以上)
実収入 26万2809円 26万6329円 25万9316円 25万2506円
実支出 29万3769円 29万2527円 28万2382円 27万3398円
差額 -3万960円 -2万6198円 -2万3066円 -2万892円

出典:総務省統計局「家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表(2024年)」を基に筆者作成
 
表1から分かるように、60歳以上の世帯主がいる2人暮らし世帯(無職)においては、おおむね30万円近い実支出があります。消費支出だけに絞ると、上記の4カテゴリでは24万2840~26万452円です。
 
どの世帯においても実収入と実支出のバランスがマイナスです。マイナス幅は2~3万円ほどあり、平均的には家計がそれほど芳しくない状況にあることがうかがえます。
 

主な消費支出の内訳

60歳以上の世帯において、具体的にどのような費目に消費支出が発生しているか、表2に平均額をまとめました。
 
表2

費目 60歳以上の高齢者がいる無職2人世帯の費目別平均支出
食料 7万9403円
交通・通信 3万675円
住居 1万7477円
光熱・水道 2万6548円
家具・家事用品 1万1970円
保健医療 1万7641円
被服及び履物 5797円
教養娯楽 2万4917円
その他 4万8845円

出典:総務省統計局「家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表(2024年)」を基に筆者作成
 
内訳を見ると、食料や交通・通信、光熱・水道、教養娯楽などの支出が大きな比重を占めているようです。「その他」については、理美容や交際費の名目で支出が多くありました。
 

年金のみで支出はカバーできる?

表1で取り上げたように、60代以上の無職2人世帯においては、実収入と実支出のバランスがマイナスです。ただしこれは平均値の話であり、受給できる年金額や毎月の支出によって状況は変わってくるでしょう。
 
参考までに日本年金機構が示したモデルケースによると、令和6年度における国民年金(老齢基礎年金)は月額6万8000円(満額)でした。また夫婦2人分の老齢基礎年金を含む厚生年金は月額23万483円です。
 
仮に、ある無職の夫婦2人世帯がこちらのモデルケースの厚生年金を受給する場合、表1でご紹介したような支出額があると、年金のみではカバーしきれません。この場合、退職金や貯蓄などを取り崩して、生活費を賄うことになる可能性があります。
 
定年後の生活がどうなるかは、定年後の年金受給額や現在の支出状況を比較検討しておくと、具体的なやりくりのイメージが描きやすいでしょう。
 

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定年後の2人世帯では30万円近い実支出が出る可能性がある

定年後の無職2人世帯では、平均で30万円近い実支出が発生します。一方、平均的な実収入はそれより額が少なく、収支バランスはマイナスになっています。
 
ただし、年金受給額や月々の消費支出は世帯ごとに異なるため、必ずしもマイナスになるとは限らないでしょう。収支がマイナスにならないよう、定年を迎える前から消費支出を減らすようにしたり、予想される年金受給額に応じて定年を迎える年齢を決めたりなど、今から将来の生活設計を工夫することがすすめられます。
 

出典

総務省統計局 e-Stat 政府統計の総合窓口 家計調査/家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2024年 表番号3-12
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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