55歳の夫が「早期退職優遇制度」を利用するか迷っています。退職金が「2000万円」もらえるそうですが「老後資金500万円」と合わせれば働かなくても生活できるでしょうか?
しかし早期退職することで給与収入が途絶えた場合、年金を受給するまでの期間や、受給後の生活に対する不安を感じることも考えられます。
今回のケースでも、55歳の労働者が、退職金と老後資金を合わせて2500万円の資産で新たな人生を歩むかどうか悩んでいるようです。
本記事では、早期退職優遇制度の概要やメリット・デメリットについて取り上げつつ、早期退職後に必要な平均生活費をご紹介します。
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早期退職優遇制度の概要
早期退職優遇制度とは、定年前に従業員が自主退職するための制度であり、福利厚生の一環として活用されるケースもあるようです。
早期退職優遇制度のメリット・デメリット
早期退職優遇制度には以下のメリットが挙げられます。
・優遇措置(退職金の割り増しやキャリアサポートなど)を受けられることが多い
・セカンドキャリアを早く始められる
一方、デメリットも想定されます。
・年金加入期間が短くなって受給額が目減りする可能性がある
・再就職を考えている場合はうまくいかないおそれもある
早期退職後の人生をどのように歩むかにより、考慮すべきメリット・デメリットは変わってくるかもしれません。
「希望退職制度」や「選択定年制度」との違い
早期退職優遇制度と似たものに「希望退職制度」や「選択定年制度」があります。
早期退職優遇制度が常に利用できる制度であるのに対し、希望退職制度はどちらかというと一時的措置です。企業が事業をコンパクトにするときや経営悪化に伴って人件費を抑制したいときなどに実施されることが一般的でしょう。
また早期退職優遇制度は「自己都合退職」、希望退職制度は「会社都合退職」として処理される点でも異なるようです。
選択定年制度は、「60歳で退職」「65歳で退職」など自ら退職する年齢を決める制度です。一方、早期退職優遇制度は条件に当てはまればいつでも退職できます。
早期退職(優遇)制度を使えば老後資金はカバーできる?
総務省統計局の家計調査報告(2024年)によると、2人以上の世帯における平均消費支出額(世帯主の年齢階級別)は表1の通りです。
表1
| 世帯主の年齢階級 | 消費支出(月額) | 消費支出(年額) |
|---|---|---|
| 50~59歳 | 35万6946円 | 428万3352円 |
| 60~69歳 | 31万1392円 | 373万6704円 |
| 70歳以上 | 25万2781円 | 303万3372円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に筆者作成
今回のケースでは、55歳での早期退職を考えています。55歳から、年金を受給し始める65歳までの10年間は仕事をしない場合、退職金と老後資金を合算した2500万円を取り崩して生活することになるかもしれません。
表1にある通り、55~59歳の5年間にかかる平均消費支出は「2141万6760円」、60~64歳までの5年間では「1868万3520円」です。合算すると、4010万280円です。
この場合、2500万円だけではカバーしきれない計算になります。もちろん表1の消費支出は平均的なものに過ぎず、実際は金額がもっとおさえられている可能性も考えられます。仮に消費支出を2分の1ほどに縮小した場合、2500万円でもカバーできるかもしれません。
平均的な消費支出では2500万円だと不十分
55歳で早期退職優遇制度を使って65歳まで働かない場合、平均的な消費支出が4000万円ほどかかるため、2500万円では不十分だと考えられます。
ただし消費支出は家庭により異なるため、実際にはシミュレーションほどの支出がないかもしれません。
いずれにしろ、予想される収支バランスによって、早期退職後に再就職したり年金受給を繰り上げたりするなど、対策を検討できるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要(7ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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