会社の定年が「70歳」になったので、それまで「年収300万円」で働く予定。年金の受け取りを「70歳」にすると、65歳から受け取る場合に比べてどれだけお得? 受給額を比較

配信日: 2025.05.12 更新日: 2025.10.21
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会社の定年が「70歳」になったので、それまで「年収300万円」で働く予定。年金の受け取りを「70歳」にすると、65歳から受け取る場合に比べてどれだけお得? 受給額を比較
物価上昇に歯止めがかからない昨今、将来に受給できる年金額に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。年金は、最長75歳まで受給開始時期を後ろ倒しにできますが、いつ受け取り始めるのがお得なのかは人によって変わります。
 
本記事では年金の繰下げ受給の概要と、65歳・70歳それぞれの年齢で受給開始したときにどちらがお得かを解説します。
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年金は受給開始時期を75歳まで遅らせることができる

日本では原則として65歳になると、現役時代の働き方によって「老齢基礎年金(国民年金)」、または老齢基礎年金と「老齢厚生年金(厚生年金)」を受け取ることができます。
 
なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、受給開始時期を最長75歳まで繰り下げることが可能で、繰り下げた月数1ヶ月で0.7%、最長10年の繰下げで84%も受給額を増額させることが可能です。
 
最近は物価高が生活を圧迫しており、老後に受け取れる年金をいかに多くするかは、年金受給者にとって大きなテーマになりつつあります。企業によっては70歳まで現役で働くことも可能で、そうなれば「年金の受給開始時期を遅らせる」という選択肢が現実的になってきます。
 

何歳から年金を受給するのがもっともお得なの?

年金を受け取り始めるとしたら、65歳・70歳のどちらがお得なのでしょうか?
 
結論をいうと、年金は一度決まった受給率が生涯続くため、受け取り開始年齢ごとに損益分岐点が変わってきます。
 
人によって受給できる年金額が異なるため、絶対的な損益分岐点はありませんが、今回は一例として、平均的な年金額の男性が平均寿命まで生存したケースで考えてみましょう。
 
厚生労働省年金局によれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取っている人の平均年金月額は約15万円です。上記の条件で65歳から通常通り受給すると、年額は約180万円です。
 
一方、70歳から受給すると増額率は42.0%、月の受給金額は21万3000円となり、年額は255万6000円です。
 
70歳から受給した場合、82歳まで12年間年金を受給すると、3067万2000円となり、65歳から82歳までの17年間で受給できる3060万円を上回ります。
 
さらに、65歳から70歳まで年収300万円で働くとそのあいだは厚生年金に加入するため、70歳からの年金額が増額します。
 
年収300万円の月収をボーナスなしで25万円と仮定すると標準報酬月額26万円×0.005481×60ヶ月=約8万6000円の年金が増加することになります。70歳から82歳まで12年間のあいだ毎年8万6000円が増額すると103万2000円となり、繰り下げ後の受給額の合計は3067万2000円+103万2000円=3170万4000円です。
 
厚生労働省の令和5年簡易生命表の概況によると、65歳男性の平均余命は「19.52年」と約20年でした。
 
85歳まで生きる可能性が高いと考えると、65歳から受け取り始めるよりは、70歳まで受給開始時期を繰り下げたほうがお得になる可能性が高いと分かります。
 
ただ、本当に70歳まで繰り下げたほうがお得かは、実際に何年生きたかによって変わります。
 

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まとめ

年金の受給開始時期は65歳が原則ですが、最長75歳まで繰り下げることができます。ただ、繰り下げるのと原則通り受け取るときのどちらがお得かは、余命によっても変わるため、一概にはいえません。
 
老後のライフスタイルなども加味して、納得できる受給の仕方を選択しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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