定年まであと少しの夫が「早期退職したい」と言い出した。家計はどうなる?

配信日: 2019.03.25 更新日: 2019.06.26

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定年まであと少しの夫が「早期退職したい」と言い出した。家計はどうなる?
結婚して主婦となり、夫のお給料をやりくりしながら暮らしてきて、ようやく子育ても一段落というとき、もしも突然、夫が会社を早期退職したいと言い出したら、妻は何を考えればよいのでしょう。あと数年で定年だと思っていたのに、目の前が真っ暗になりそうです。
 
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

早期退職のメリット・デメリット

会社の早期退職制度では、大きく割り増しされた退職金が提示されることが多いようです。また、会社都合の退職ということになるので、失業保険も自己都合の退職より多く受け取ることができます。
 
夫が、退職後に資格を取る、自営業を始めるなど、新しい道を歩みだそうと考えているなら、できるだけ早く始めた方が良いし、割り増しされた退職金をそのための資金に充てられるということもあります。
 
デメリットとして、まず挙げられるのは年金でしょう。50歳以降に日本年金機構から送られてくる年金定期便には、このまま60歳まで厚生年金に加入したらいくらになるか、という老齢年金の予想額が表示されています。
 
ですから、早期退職したら、厚生年金の加入期間が短くなり、将来受け取る年金額も減ってしまいます。
 
しかも、これまでは天引きだった年金保険料を、自分で払わなければならなくなります。国民年金の保険料は、年額約20万円。夫と妻、それぞれが60歳になるまで、払い続けなければなりません。その他に、在職中は会社と折半だった健康保険料も自分で払うことになります。
 

わが家のマネープランを考えてみましょう

夫の早期退職に無条件で賛成できる妻は多くないでしょう。しかし、夫の選択を応援したい気持ちもあるはずです。
 
一番危険なのは、「今までだって何とかやってきたのだから、これからだって何とかなる」という考え。賛成するか、反対するかを決める前に、わが家のマネープランにどのような影響があるかを考えてみましょう。まず、65歳までにどのくらいのお金が必要となるのでしょうか。
 
(1)生活費
現在の生活費は毎年どのくらいかかっているでしょうか。少なくとも、これから老齢年金を受給できる65歳まで、いくらあったら生活できるか計算してみましょう。
 
(2)住まい
持ち家なら、住宅ローンがあとどのくらい残っているか調べましょう。50代なら、まだ1000万円以上の住宅ローン残高が残っているかもしれません。
 
65歳までの返済額を計算してみましょう。賃貸なら、65歳までの賃料を計算します。今後、どのように暮らすのか、夫婦で相談することも重要です。
 
(3)教育費
まだ子どもに教育費がかかるなら、それも確保しなければなりません。子ども達が卒業するまで、あとどのくらいの教育費が必要か計算しましょう。
 
足りなそうなら、奨学金の利用を検討してもよいのですが、子ども自身が卒業後に返済していかなければならないので、借り過ぎには気を付けましょう。
 
さて、(1)+(2)+(3)の合計を、提示された退職金の金額が上回るようならお金の心配は少ないのですが、そうならないケースが多いかもしれません。次は貯蓄額のチェックです。わが家の貯蓄はどのくらいあるでしょうか。銀行預金だけでなく、株や投資信託なども計算に入れましょう。
 

安心して65歳以降を過ごすために

実際には、65歳以降のマネープランも考慮して検討しなければなりません。しかし、この辺りまで計算してみると、早期退職しても何とかやっていけそうかどうか、なんとなく分かってくるのではないでしょうか。
 
もちろん、夫が再就職する、または自営業を始めるなどの計画を立てている場合もあるでしょうから、それを夫から妻にプレゼンしてもらいます。夫が妻を納得させられるだけの堅実なプランなら、家計のやりくりが必要だとしても、妻は応援してもよいのではないでしょうか。
 
妻の収入を増やして、乗り切るプランもあるでしょう。ただし、その場合は夫の家事参加を増やして、妻を支える約束もしっかりしておきましょう。
 
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
 

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