60代で独身の友人が「老後の住まいはサービス付き高齢者住宅が安心」と言っていますが、実際どれくらい費用がかかるのでしょうか？

60代で独身の方が老後の住まいとして「サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）」を検討するのは、安心感や自立支援の面で非常に理にかなっています。
 
しかし、実際にどれくらいの費用がかかるのかは、多くの方が気になるポイントです。本記事では、サ高住の費用について詳しく解説し、老後の住まい選びの参考になる情報を提供します。

サービス付き高齢者向け住宅とは？ 基本的な特徴と費用構造

サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）は、高齢者が安心して暮らせるように設計された賃貸住宅です。バリアフリー設計や安否確認、生活相談などのサービスが提供されており、自立した生活を支援することを目的としています。
 
サ高住には「一般型」と、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けた「介護型」があり、それぞれ提供されるサービスや費用が異なります。
 
費用は主に「初期費用」と「月額費用」に分かれます。初期費用は敷金などが含まれ、月額費用には家賃、管理費、食費、介護サービス費などが含まれます。これらの費用は、施設の種類や提供されるサービス内容によって変動します。
 

一般型と介護型で異なる費用の目安

一般型のサ高住は、自立した生活が可能な高齢者向けで、介護サービスは外部の事業者と契約して利用する形が一般的です。国土交通省が発表している「サービス付き高齢者は向け住宅に関する現状」によると、入居費用の平均は以下の通りです。

・全国
平均10.5万円
 
・大都市圏（埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県）
平均12.4万円
 
・地方圏（上記以外の道県）
平均8.7万円

入居時には敷金として月額の2～3ヶ月分がかかる場合もあります。全国平均の費用で計算すると21万〜31万5000円程度が相場です。月額費用には家賃、管理費、食費、生活支援サービス費などが含まれます。
 
一方、介護型のサ高住は、要介護認定を受けた高齢者向けで、介護サービスが施設内で提供されます。介護型のサ高住では、初期費用として敷金や前払い金が必要な場合があり、相場は15万〜50万円程度です。施設によっては、数百万円規模の前払い金が必要なケースもあります。
 
月額費用は15万〜40万円程度で、介護サービス費が定額で含まれている場合もありますが、介護保険の自己負担分が別途発生する場合もあります。
 
なお、介護サービス費は介護度によって異なり、要介護1で約1万6765円、要介護5で約3万6217円の自己負担が発生します（1割負担の場合）。
 

費用以外に考慮すべきポイントと注意点

サ高住を選ぶ際には、費用面だけでなく、以下のポイントも考慮することが重要です。
 

・立地

日常生活の利便性や家族との距離を考慮しましょう。
 

・提供されるサービス

食事の提供、医療機関との連携、レクリエーション活動など、自分のライフスタイルに合ったサービスがあるか確認しましょう。
 

・契約形態

サ高住は原則として賃貸借契約です。契約内容や解約条件は施設ごとに異なるため、契約前にしっかりと内容を確認しましょう。
 

・施設の雰囲気

実際に見学し、スタッフの対応や他の入居者の様子を確認することで、自分に合った施設かどうか判断できます。
 
また、自治体や国が提供する補助金や税制優遇措置を利用することで、負担額を軽減できる場合もあります。詳細は各自治体の窓口で確認しましょう。
 

老後の住まい選びは慎重に

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせる住まいとして注目されています。一般型と介護型で費用や提供されるサービスが異なるため、自分の健康状態やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
 
また、費用面では初期費用と月額費用の両方を考慮し、将来的な収支計画を立てることが重要です。老後の住まい選びは人生の大きな決断の一つです。信頼できる情報をもとに、複数の施設を比較検討し、自分にとって最適な住まいを見つけましょう。
 

出典

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅に関する現状と施策の動向」
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー