78歳の父が他界して母が一人で年金暮らしに。「一人だから7万円の年金で生活できる」と言っているのですが本当に足りるのでしょうか?
今回のケースでは、配偶者を亡くした女性がこれから年金7万円で生活をするつもりでいるようです。7万円という額は一般的に生活費として十分とはみなされない額かもしれません。実際、その額では足りないのではないかと家族から心配されています。
本記事では高齢者の単身世帯における平均的な1ヶ月の収支状況をご紹介します。そのうえで、生活費が足りない場合に考えられる対処法も解説します。
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高齢単身無職世帯の平均支出は1ヶ月約16万2000円
今回のケースに出てくる年金暮らしの女性を65歳以上と仮定しましょう。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の家計収支は以下の通りです。
実収入:13万4116円
非消費支出および消費支出:16万1933円
収入と支出の差:マイナス2万7817円
平均結果では、1ヶ月に3万円近い赤字が出ています。今回のケースでは年金収入の7万円が頼みです。仮に上記の平均データと同程度の支出があるとすれば、毎月の赤字は9万円を超える計算です。
ただし、収入は7万円しかないとしても、貯蓄があれば生活費にあてられる額が増えます。配偶者や自身の退職金、あるいはこれまで蓄えてきたお金があるかもしれません。そのほかにも不動産や債券、株式などの金融資産があれば、売却により老後資金にできます。
今後どれほど長生きできるかにもよりますが、金融資産しだいでは年金との組み合わせで生活を維持できるかもしれません。
月々7万円で生活は可能?
仮にほかの金融資産がない場合は、7万円の年金だけで生活を維持しなければなりません。この場合やりくりできるかどうかは、状況によって異なります。
前述の家計調査報告によると、消費支出14万9286円の詳細な内訳は表1の通りです。
表1
| 消費支出の費目 | 月平均金額 |
|---|---|
| 食料 | 4万2085円 |
| 住居 | 1万2693円 |
| 光熱・水道 | 1万4490円 |
| 家具・家事用品 | 6596円 |
| 被服及び履物 | 3385円 |
| 保健医療 | 8640円 |
| 交通・通信 | 1万4935円 |
| 教育 | 15円 |
| 教養娯楽 | 1万5492円 |
| 諸雑費 | 1万3409円 |
| 交際費 | 1万6460円 |
| 仕送り金 | 1059円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に筆者作成
食料や交際費、教養娯楽、交通・通信、光熱・水道、住居にあてる額が比較的多いようです。
これらの費目は世帯によって消費額が大きく異なります。世帯によってはこれらの費目にかけるお金が数割少ないかもしれません。
今回のケースでもし支出を多分におさえられているのであれば、もしかしたら7万円でもやりくりできるかもしれません。
生活費が足りない場合の対処法
もし生活費が足りない状況が続くのであれば、何かしらの対処法を講じる必要があります。例えば以下のような選択肢があるかもしれません。
・働き口を探して収入を増やす
・子どもに援助してもらう(仕送り、同居など)
・生活保護を申請する
生活保護については、年金受給者であっても申請できます。最低生活費を下回る収入しかないのであれば、申請することで保護費を受給できる可能性があります。
ただし生活保護の受給が認められるには、所有の資産や能力などをしっかり活用しているか、扶養義務者がいないかなど調査を経る必要があり、申請すれば必ず受けられるとは限りません。詳細については自治体の窓口に問い合わせるとよいでしょう。
7万円の年金では不足が生じる可能性が高い
今回のケースでは7万円の年金収入があるようですが、平均的な支出データと比較すると十分な額ではなく、毎月赤字になる可能性があります。
ただし本人の支出状況や所有している金融資産によっては、生活費をカバーできるかもしれません。
不足が生じる場合は、働いたり家族や行政のサポートを受けたりなど対処法を考える必要が出てくるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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