再雇用で「月収45万→22万円」になった夫。下がった分「給付金」で補てんされるそうですが、いくら受け取れるのでしょうか?「高年齢雇用継続給付」の給付金額を試算
本記事では、高年齢雇用継続給付の変更点と、定年後に月収が45万円から22万円に減少した場合、給付金をいくら受け取れるのかを解説します。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
高年齢雇用継続給付とは?
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も働く意欲のある人が能力を発揮できるよう、賃金の低下を一部補てんする雇用保険の給付制度です。60歳以降も引き続き雇用される人を支援する「高年齢雇用継続給付金」と、60歳でいったん退職し再雇用される人を支援する「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
これまで、高年齢雇用継続給付の支給率は、賃金の低下率に応じて「最大15%」と設定されていました。
しかし、2025年4月1日以降は、支給率が「最大10%」まで引き下げられます。これは、少子高齢化が進む中で、高齢者の就労をより一層促進して社会保障制度を維持することを目的としたものとされていますが、再雇用後の低賃金を補てんする給付金額が大きく減少することになりますので、老後のライフプランにも悪影響を及ぼしてしまうことが心配されます。
「高齢者雇用継続給付」の支給条件と、支給額の計算方法は?
高年齢雇用継続給付を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
(1)雇用保険の被保険者が、60歳以上65歳未満であること。
(2)雇用保険の被保険者期間が5年以上あること。
(3)60歳以降の賃金が、60歳時点の75%未満に低下していること。
今回のパターンでは、条件(1)(2)をクリアしているとして、(3)についても現役時代の半分以下まで収入が減少していますので、夫は高齢者雇用継続給付を受け取る資格を有しています。
では、具体的に月収45万円だった人が再雇用のため、60歳以降に22万円になった場合、いくら給付金を受け取れるのでしょうか。
厚生労働省のサイトにある制度改正後の支給率早見表が、図表1です。
図表1
厚生労働省 令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
今回のパターンのように、再雇用によって月収45万円が22万円(減少前の約49%)まで落ち込んだ際の高年齢雇用継続給付支給率は、最大の「10.00%」です。給付金額を実際に計算すると、以下の通りになります。
●変更前(2025年3月31日まで)
支給額=22万円×支給率(15%)=3万3000円
●変更後(2025年4月1日以降)
支給額=22万円×支給率(10%)=2万2000円
上記の「変更後」における支給金額が、給与減額後の賃金に上乗せされて支払われますので、給与減少後の実際の給与受取額は22万円+2万2000円=24万2000円となる見込みです。
このように、再雇用による給与減少は、「高年齢雇用継続給付」の制度によって、ある程度補てんされます。しかし、今回の制度改正により補てん額は大きく目減りしますので、老後のライフプランを作成する際には制度改正後の補てん額を正確に計算することが重要です。
まとめ
「高年齢再就職給付金」は、いったん退職して再雇用される人を支援するため、給与の減額幅に応じた給付金を支給する制度ですが、2025年4月1日以降は給付金の支給率が減額されました。
これまでは、各月の給与の最大15%が給付されていましたが、これが最大10%まで減額されるため、ライフプランに大きな影響を及ぼす恐れがあります。老後のライフプランを作成する際は、必ず給付金額の正確な計算をすることを心がけましょう。
※ 2025/5/26 記事を一部、修正いたしました。
出典
厚生労働省 令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
